商品内容
要旨 |
混迷を極める室町時代の日本。幕府の権勢は衰え、ついに応仁の乱が始まる。我欲が為に人と人が殺しあい、力こそが物を言う戦国の世はもうすぐそこまで来ていた。戦乱の中、一休は各地をさまよい暮らしながら人々と交わる。繰り返される出会いと別れ。老若男女、身分を問わず多くの者が一休を敬愛し、その人柄を慕う。彼の追い求める悟りの道は余人には優しい救いでもあり、厳しい問いかけでもあった。わび茶の創始者である村田珠光や世阿弥の教えを受けた能役者の金春禅竹といった新しい文化を生み出す偉人たちも一休に興味を持ち、親交を深める。一方で、一休と対立していた養叟は大徳寺の住持となり、天皇からも認められる高僧となっていた。けれども埋めようのない寂寞がその心の内から離れることはなかった。自らの不毛な人生を振り返りながら養叟は世を去っていく。最晩年の一休は旅芸人の森女と出会う。僧侶という身分でありながら彼女と心と体を通わせて愛を育む。しかし避けがたい死の気配がついに一休にも訪れる。たとえ異端や風狂と思われたとしても、誰よりも真剣に真っすぐに仏の道を歩んだ男の一生涯、その思想、その祈りがここに描かれる。日本漫画家協会賞“優秀賞”作品。 |
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出版社・メーカーコメント
とんちで知られる一休宗純。その人生は波乱にみちたものであった。将軍、天皇、僧侶、侍、民衆…さまざまな身分の人間の思惑が混ざりあい、混乱を極める室町時代。高貴な身分でありながら出自を隠し、真剣に悟りを目指す一休宗純は迷いながら懸命に生きる。矛盾と不条理と苦しみに満ちた世間のなかで、どのように生き、そして死ぬのかを考えるきっかけとなる傑作。アングレーム国際漫画祭遺産賞を受賞し、世界からの評価が高まる坂口尚。その遺作となる本作は、日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した幻の作品。大判かつ高精細な印刷で、人生の指針を与えてくれる本作をお楽しみください。第4巻で描かれるのは、老境の一休。死を目前とする老いた肉体と精神の全記録。