死の前、「意識がはっきりする時間」の謎にせまる 「終末期明晰」から読み解く生と死とそのはざま
出版社名 | KADOKAWA |
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出版年月 | 2024年3月 |
ISBNコード |
978-4-04-606720-3
(4-04-606720-9) |
税込価格 | 2,530円 |
頁数・縦 | 364P 19cm |
商品内容
要旨 |
子どもや伴侶の顔を忘れる。自分の名前も忘れる。昨日のことも覚えていない―。認知症やその他の病気による脳への不可逆的なダメージを負った人が、ある日突然ふつうに話し始める。まるで「昔のあの人」が帰ってきたかのように。これまでほとんど研究されてこなかった、しかしたしかに多くの報告があるこの現象「終末期明晰」は、いったい何を意味しているのだろうか。本書は科学に根ざして書かれながら、自己や魂についての哲学的な問いへと読者を誘う。 |
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目次 |
第1部 「だれか」であることについて(「だれか」であり、「やがて死を迎える」ことについて |
出版社・メーカーコメント
だれかが亡くなる前、ずっとまともに話すこともできなかったその人が、家族や知人を認識し、思い出や感情を朗々と語り出す−−生き生きと、まるで「昔のその人」が戻ってきたかのように。本書は、「終末期明晰」と呼ばれるこの不思議な現象に、科学の観点から取り組む世界で初めての本です。著者は、『夜と霧』の著作で知られるヴィクトール・フランクルの薫陶を受け、現在ヴィクトール・フランクル研究所の所長をつとめる認知科学者、アレクサンダー・バティアーニ博士。バティアーニ博士がこの現象についての研究をスタートすることを発表すると、世界中から大きな反響、たくさんの経験談が寄せられました。そこには家族や知人を見送った人のみならず、多くの医療・ケア現場で働く人々からの報告も含まれていました。調査によると、「終末期明晰」は、公的に研究されてこなかっただけで、古くからその記述が残っていることもわかりました。本書は、それらの多くのエピソードや報告書を引きながら、この現象が意味するところ、発生原因や発生条件、またこの現象を紐解くことによって生まれる可能性について論を展開しています。深刻な認知症やその他の病気により脳の不可逆的なダメージを負い、だれがだれかもわからず、昔とは別人になったかのような人が、なぜ死の前に「帰ってくる」ようなことが起きるのか。この問いは、実に多くことを示唆します。たとえば、「脳以外に記憶が保存されている可能性」や、「魂と呼ばれるものの存在について」などです。生きるとはどういうことか。自己とは何か。人の魂はどこにあるのか。この真摯で丁寧な研究報告書は、読む人に深い感動を与えます。