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賄賂と民主政 古代ギリシアの美徳と犯罪

講談社学術文庫 2827

出版社名 講談社
出版年月 2024年7月
ISBNコード 978-4-06-536405-5
4-06-536405-1
税込価格 990円
頁数・縦 163P 15cm

商品内容

要旨

古代ギリシアは、贈与公換を「美徳」とする社会だった。では、贈与と賄賂はどう違うのか。賄賂はなぜ厳しく断罪されるようになったのか。アテナイを黄金期に導いたペリクレスは友人からの供応を断り、パルテノン神殿建設という大公共事業に際しても、贈収賄事件の記録は見当たらないという。民主政治の暗黒面と向き合ったアテナイ市民の格闘を描く。

目次

1 賄賂と贈与
2 贈り物は神々をも説得する
3 ペルシア戦争という転機
4 さまざまな賄賂
5 罪と法
6 賄賂と民主政

出版社・メーカーコメント

参政権の平等と民衆の政治参加という理想を追い求めた古代ギリシアの人々。しかし、政治の暗黒面を避けて通ることはできなかった。それが賄賂である。では賄賂とは、いつから、なぜ、「犯罪」とされるようになったのだろうか−−。紀元前5世紀なかばに直接民主政の骨格を完成した都市国家アテナイを、国力の絶頂期に導いたペリクレスは、「賄賂になびかない政治家」として知られる。友人からの供応を嫌い、宴会の招きに応じることもなかったという。それが贈収賄の温床になることを知っていたのである。しかし、賄賂と贈与はどう違うのか。古代ギリシアはもともと、贈与交換が重視される社会だった。贈与の機能は多様であり、現代ならば、それは謝礼、賃金、報償、あるいは賄賂となるが、それは総じて「贈り物」と呼ばれたのである。そのなかで、私的な利益を誘導する賄賂への態度は、民主政の始まりによって一変したわけではなかった。賄賂を断罪する姿勢があらわれるのは、ギリシア人がペルシア戦争という未曽有の困難に直面し、賄賂が公共性にとって破壊的な結果をもたらすことに気づいたときだった。アテナイのパルテノン神殿の建設という大公共事業に際しても、贈収賄事件の記録は1件も見当たらないという。〔原本『賄賂とアテナイ民主政−−美徳から犯罪へ』山川出版社、2008年刊〕目次1 賄賂と贈与2 贈り物は神々をも説得する3 ペルシア戦争という転機4 さまざまな賄賂5 罪と法6 賄賂と民主政あとがき学術文庫版あとがき

著者紹介

橋場 弦 (ハシバ ユズル)  
1961年、札幌市生まれ。東京大学文学部卒業。同大学院人文科学研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)