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呼人は旅をする
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- 本町文化堂 (和歌山県和歌山市)
原因不明の特殊体質のせいで、動物や虫、植物に自然現象など、様々なものを呼び寄せてしまう「呼人」たちを描いた物語。
例えば「雨の呼人」。彼女がいる地域は常に雨が降るため、一定期間以上は同じ場所に留まることができません。小学生の彼女はリモートワークを受けながら各地を旅する生活。その旅にも家族やボランティアの支援が必要で、常に不自由や困難が共にあります。SF的とも言える設定ですが、この物語の裏には、現実の社会で、病気や障害のため自由を制限される人たちの姿を見ることもできるでしょう。描かれるのは他者を想う心の大切さ。
10代の読者向けのヤング・アダルト小説ですが、多くの人に手に取っていただきたい作品です。(2025年4月1日)
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商品内容
要旨 |
呼人は、なにかを寄せてしまう。動物や、虫や、植物、自然現象。だから、ひとつの場所にとどまらず、旅をする。人とちがうこと、それでも隣りあって生きること。痛みと希望の連作短編集。 |
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出版社・メーカーコメント
呼人は、なにかを寄せてしまう動物や、虫や、植物、自然現象だから、ひとつの場所にとどまらず、旅をする人とちがうこと、それでも隣りあって生きること痛みと希望の連作短編集。「呼人」とは、なにかを引き寄せる特殊体質。原因は不明でごく少数だが一定の割合で発現する。政府機関によって認定され、生活に制限がある。5人の呼人と、呼人に関わる人たちの姿から、社会の中で少数であること、そうした状況で生きるというのはどういうことか、を描く。「……真帆ってすごいね」「なにが?」「あたしの目の前で、自分は恵まれてるって、はっきりいうなんて」 真帆は首をかしげた。「だってそうじゃない? くいなは自分で選んでないのに旅をしなくちゃいけなくて、わたしは旅をするかしないか、好きに選べる。それってわたしが恵まれてるってことだよね?」(本文より)