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戦前日本の「聖地」ツーリズム キリスト・日蓮・皇室

NHKブックス 1294

出版社名 NHK出版
出版年月 2025年5月
ISBNコード 978-4-14-091294-2
4-14-091294-4
税込価格 1,980円
頁数・縦 350P 19cm

商品内容

要旨

無邪気な日常語に「排除」の歴史を見通す。いま「聖地」の巡礼とは宗教や漫画の「ご当地めぐり」を指し、個人の嗜好にもとづいた自由な行為だが、昭和戦前期は違った。同調しない人を非難し排除する、強い圧力を伴ったのである。本書は、はじめは教養主義エリートの西洋への憧れから生まれ、一般大衆へと広がった「聖地」めぐりのブームが、いかに発展し、社会の中の同調圧力を生み出すに至ったかを解明する試みである。この過程に、「全国的鉄道網の整備によるツーリズムの大衆化」が強く作用したことは、これまで看過されてきたのではないか―実力派の歴史家が描き出す、瞠目の日本〈感情〉近代史!

目次

「聖地」の日本化
「日蓮と基督」―高山樗牛と田中智学の日蓮像
教養主義と日蓮ツーリズム―身延山、富士身延鉄道、高山樗牛
天皇崇敬の〈宗教〉化―大逆事件と天皇の代替わり
明治神宮と渋沢栄一―意図せざる「聖地」の創出
〈体験〉と〈気分〉の共同体―大正期以降の伊勢神宮・明治神宮参拝ツーリズム
日蓮の「聖地」と明治神宮―田中智学による「聖地」の規範化
「聖地」のセット化(1)―橿原神宮と「三大神宮」
「聖地」のセット化(2)―田中智学の「五大聖地」巡拝
「聖地」のセット化(3)―大軌グループと「三聖地」
総力戦体制と「聖地」ツーリズム―「自粛」下のツーリズムを正当化する論理
キリスト発、日蓮経由、皇室ゆき

出版社・メーカーコメント

社寺参拝はいつから「神聖」になったのか明治初期に「迷信」の色濃かった社寺参拝は、日蓮をキリストと同一視する人々によって新たに意味づけされ、神聖な行為とみられるようになる。次いで明治神宮の創建が熱狂的に受け入れられ、同調しない人が排除されるようになり…… 宗教・交通・メディアを融合させて描く、驚きの日本近代史。序 章 聖地の日本化第一章 「日蓮と基督」 −−高山樗牛と田中智学の日蓮像第二章 教養主義と日蓮ツーリズム第三章 天皇崇敬の「宗教」化 −−大逆事件と天皇の代替り第四章 明治神宮と渋沢栄一 −−意図せざる「聖地」の創出第五章 「体験」と「気分」の共同体−−大正期以降の伊勢神宮・明治神宮参拝ツーリズム第六章 日蓮の「聖地」と明治神宮 −−田中智学による「聖地」の規範化と「明治神宮モデル」第七章 「聖地」のセット化(1) −−橿原神宮と「三大神宮」第八章 「聖地」のセット化(2) −−智学の「五大聖地」巡拝 第九章 「聖地」のセット化(3) −−大軌グループと「三聖地」第十章 総力戦体制と「聖地」ツーリズム −−鍛錬と信仰

著者紹介

平山 昇 (ヒラヤマ ノボル)  
1977年、長崎県生まれ。東京大学教養学部卒業、同大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。駿台予備学校講師、立教大学兼任講師、九州産業大学准教授などを経て、神奈川大学国際日本学部准教授。専門は日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)