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鎌倉茶藝館

出版社名 光文社
出版年月 2025年8月
ISBNコード 978-4-334-10746-8
4-334-10746-X
税込価格 1,980円
頁数・縦 333P 20cm

NetGalley 会員レビュー

書店関係者

おすすめ度おすすめ度★5

登場するお茶の多彩さと豊かさに魅せられた。聞香杯という小さな盃で香りを聞き、味の変化を楽しむ。読むとすぐにでも鎌倉茶藝館に行きたくなる。登場人物も多彩だ。夫を亡くし、思い出の中で生きていた主人公美紀。新しい仕事と恋愛を得てどんどん変わってゆく。同い年の男性と年下の彼。揺れる心を抱える美紀の決断から目が離せない。まわりの人たちもクセがあり良い人ばかりではない。お茶と人生の味わいが重なるようで楽しめた。「なでし子物語」のシリーズ、「犬がいた季節」などさわやかなイメージの伊吹さん。この作品には少し驚いたが感情を細やかに描いてくれる所は変わらない。伊吹さんの新しい世界を楽しみにしている。

書店関係者

おすすめ度おすすめ度★5

生きるって、こんなにも苦しくて、こんなにも美しかったのかと息を呑む。誰かを想うことが、こんなにもせつなく、苦いものかと息が詰まる。歳を重ねたからこそ人生を揺らすような恋に出会い、自分を取り戻すかのように生き直す姿が、ただただかっこよかった。

レビュアー

おすすめ度おすすめ度★5

しっとりと優雅な雰囲気が漂う物語。老いを感じ始めた48歳の女性の不安定で揺れ動く気持ちや戸惑い、新しい世界に気持ちが傾いていく様子を、ドキドキしながら愛おしむように読みました。そして、物語の大きな魅力でもある台湾茶と着物の世界が、鎌倉の情緒と相まって雅でした。お茶の香りや味わいの表現がこんなにも豊かだなんて思いもしませんでした! 今にもお茶が香ってきそう。着物にいたっては、その手触りまで確かめたくなる。鎌倉茶藝館のオーナー親子も魅力的。あやつる言葉も立ち振る舞いもさりげないのに洗練されていて、優しさと包容力を感じた。大人の恋愛小説を堪能。鎌倉の魅力も存分に楽しめる、至福の読書時間でした!

上記レビューの提供元:NetGalley(株式会社メディアドゥ)

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商品内容

要旨

夫と死別。勤務先も倒産し、生きる気力を失った美紀。最後の旅先に選んだのは、青春の記憶が残る鎌倉。しかし思い出の地の山中で道に迷い、美紀は古い洋館の台湾茶カフェ「鎌倉茶藝館」に飛び込む。そしてそのたたずまいとオーナーの老マダムに惹かれ、働き始める。お茶。着物。古都の日常。心うるおす文化や人々に触れ、美紀は前向きな気持ちを取り戻す。―そんな彼女に、まったく違うタイプの男性二人が、同時に好意を持ち始めた。名手が描く、大人の女性の戸惑いと決断。

著者紹介

伊吹 有喜 (イブキ ユキ)  
三重県生まれ。中央大学法学部卒業。2008年『風待ちのひと』でポプラ社小説大賞特別賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)