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私労働小説 負債の重力にあらがって

出版社名 KADOKAWA
出版年月 2025年10月
ISBNコード 978-4-04-114142-7
4-04-114142-7
税込価格 1,870円
頁数・縦 271P 19cm

商品内容

要旨

「あたしたちは負債の重力に引きずられて生きている」だが、負債を返済するために生き続けたら人間は正気を失ってしまう。シット・ジョブ。店員やケアワーカーなどの「当事者」が自分たちの仕事を自虐的に指す言葉だ。他者のケアを担う者ほど低く扱われ、「自己肯定感を持とう」と責任転嫁までされる社会。自らを罰する必要などないのに。働き、相手に触れ、繋がる。その掌から知恵は芽吹き、人は生まれ直し、灰色の世界は色づく。数多のシット・ジョブを経た著者が自分を発見し、取り戻していった「私労働」の日々を時に熱く、時に切なく綴る連作短編集。

出版社・メーカーコメント

Don‘t Blame Youeself!セクハラ、パワハラ、カスハラ、人種差別に事なかれ主義やポジティブ教の上司まで。ジョブには最低なものとの戦い(ワーク)がつきまとう。ホールスタッフ、激安量販店の店員、屋敷の掃除人にローンの督促人etc.「底辺託児所」の保育士となるまでに経た数々のシット・ジョブを軸に描く、自伝的小説にして魂の階級闘争。「あたしたちは負債の重力に引きずられて生きている。」だが、負債を返済するために生き続けたら人間は正気を失ってしまう。シット・ジョブ(くそみたいに報われない仕事)。店員やケアワーカーなどの「当事者」が自分たちの仕事を自虐的に指す言葉だ。他者のケアを担う者ほど低く扱われ、「自己肯定感を持とう」と責任転嫁までされる社会。自らを罰する必要などないのに。働き、相手に触れ、繋がる。その掌から知恵は芽吹き、人は生まれ直し、灰色の世界は色づく。数多のシット・ジョブを経た著者が自分を発見し、取り戻していった「私労働」の日々を時に熱く、時に切なく綴る連作短編集。みんな誰かに負債を返すために生きている。それこそが、闇だ■面倒を避け続ける職場では、いいことは悪いことになり、悪いことがいいことになる。■上から目線の人々は、あまりに視線の位置が高すぎて、その位置から下の人間の姿が見えてない。だけど、なんとなく下のほうに人がいる気配がするので、とりあえず声はかけておくが、相手の姿は見えないし声も聞こえないのだ。■嫌と言えない理由があるから貸すのであり、返さなくてもいいという暗黙の了解もあるのだ。こういう特殊な取り決めが成り立つ関係を、家族と呼ぶのだろうか。

著者紹介

ブレイディみかこ (ブレイディミカコ)  
ライター・作家。1965年、福岡県福岡市生まれ。96年から英国ブライトン在住。日系企業勤務後、保育士資格を取得し、「底辺託児所」で働きながらライターとなる。2017年、『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)で第16回新潮ドキュメント賞を受賞。19年、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社、のち新潮文庫)で第73回毎日出版文化賞特別賞、第2回Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞、第7回ブクログ大賞(エッセイ・ノンフィクション部門)などを受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)