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どこまでもきびしく、かぎりなくやさしい詩の常備薬
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- ACADEMIA 港北店 (神奈川県横浜市都筑区)
「自分の感受性くらい/自分で守れ/ばかものよ」。あまりに峻烈な詩句です。しかし彼女の詩に耳を澄ますうち、ナイフのように鋭いその表現は、どこまでも誠実に生きようとするひとりの人間の、偽りなき心の声であり、人間存在への信頼に基づくほんとうのやさしさであることに思い至るのです。戦後を代表する国民的詩人である彼女の作品は、現代詩文庫などでまとめて読むこともできますが、一篇一篇丁寧に、美しくレイアウトされたこの詩集の重厚な存在感は格別です。心が疲れたとき、挫けそうなとき、何度でも読み返したい、常備薬のような詩集です。(ミシマ社『THE BOOKS』より転載)
(2013年3月11日)
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