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村上春樹短篇再読

出版社名 みすず書房
出版年月 2007年4月
ISBNコード 978-4-622-07290-4
4-622-07290-4
税込価格 2,750円
頁数・縦 244P 20cm

商品内容

要旨

村上春樹ファンには、とりわけ彼の短篇が好きだという人も多い。この作家の短篇小説には、“短篇”という形式において、長篇とはまた異なる、比喩や象徴性に優れた村上ワールド独特の魅力があるからだ。著者は、村上春樹作品をデビュー作「風の歌を聴け」(1979年)以来、「自分たちの物語」として鮮烈に受け止めてきた、コアな読者世代。村上春樹と共に同時代を呼吸してきた感覚による読解は、ほかの研究・批評書とは異なる肌理をもち、本書自体が、村上春樹のテイストを有している。村上春樹の小説を、仕掛け共々、隅々まで楽しめる評論である。村上春樹の短篇15作品と、村上訳のアメリカ短篇小説3本(カーヴァー、フィッツジェラルド)を、春樹ファンに向けてディテイルに踏み込んで語る。

目次

緻密に記憶された過去―「午後の最後の芝生」
誤謬、あるいは小説の仕掛け―「中国行きのスロウ・ボート」
語り手の気づかい、あるいはおせっかい―「納屋を焼く」
フーコーを読む「私」―「眠り」
呪縛からの解放―「パン屋襲撃」「パン屋再襲撃」
長篇小説の始動モーター(1)「螢」
長篇小説の始動モーター(2)「ねじまき鳥と火曜日の女たち」
足された「、」―「めくらやなぎと、眠る女」
青少年向けのテクスト―「沈黙」
映画化された村上作品(1)「トニー滝谷」
映画化された村上作品(2)「四月の晴れた朝に100パーセントの女の子に出合うことについて」
話してもらいたがるスケッチ「ハンティング・ナイフ」
ブラジャーをはずす女「蜂蜜パイ」
メタフィクションの作動『東京奇譚集』
母による子殺し、あるいは村上春樹によるラカン「緑色の獣」
ズレる二項対立「ささやかだけれど、役にたつこと」(レイモンド・カーヴァー著/村上春樹訳)
もうひとりの「集める人」 「収集」(レイモンド・カーヴァー著/村上春樹訳)
名作の再訳「バビロンに帰る」(F.スコット・フィッツジェラルド著/村上春樹訳)

出版社
商品紹介

村上春樹の短編小説15作品と、彼が翻訳した短編3本(カーヴァー、フィッツジェラルド)を採り上げリアルな視点で論じる。

著者紹介

風丸 良彦 (カザマル ヨシヒコ)  
1958年、東京都新宿区に生まれる。上智大学外国語学部卒業。文芸評論家。盛岡大学文学部准教授、岩手大学・東海大学非常勤講師。専門は現代アメリカ文学。著書に『カーヴァーが死んだことなんてだあれも知らなかった―極小主義者たちの午後』(講談社、1992年。表題作で第33回群像新人文学賞“評論部門”優秀賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)