モーツァルトとナチス 第三帝国による芸術の歪曲
| 出版社名 | 白水社 |
|---|---|
| 出版年月 | 2012年12月 |
| ISBNコード |
978-4-560-08260-7
(4-560-08260-X) |
| 税込価格 | 4,400円 |
| 頁数・縦 | 332,88P 20cm |
商品内容
| 要旨 |
ナショナリズムと一見無縁なモーツァルトのイメージや作品を、ナチスはいかに政治的に利用していったか。文化の歪曲の実態とユダヤ系音楽家・学者たちの苦闘を、オーストリア併合以前から戦後の軋轢まで、膨大な資料から検証する。 |
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| 目次 |
第1章 プロローグ―一九三一年モーツァルト・イヤー |



おすすめコメント
ナショナリズムと一見無縁なモーツァルトのイメージや作品を、ナチスはいかに政治的に利用したか。膨大な史料から検証する。 「ドイツ民族の偉人」モーツァルトの時代 ナチスが芸術を、民意を誘導するための有力な手段としたことはよく知られている。音楽においては、ワーグナーの高揚と陶酔に満ちた音楽を利用した。オペラの素材となっている神話・伝説のゲルマン的要素を強調し、アーリア民族の優越性の表現と位置づけることで、自らの文化的支柱としたのだった。 あまり知られてこなかったが、実はナチスはモーツァルトをも大いに利用していた、というのが、本書が明らかにする意外な事実である。およそナショナリズムとは無縁な印象のモーツァルトを、「力に満ちた若きドイツ人の象徴」、また「ボルシェヴィキから守るべきドイツ文化の絆」と謳い上げたのだった。ただし、モーツァルトにはナチスのイデオロギー上、やっかいな点が三つあった。ドイツではなくオーストリア出身で、フリーメイソンの会員、しかも重要なオペラでユダヤ人台本家と協働していることである。オーストリア併合によって彼をドイツ人としたナチスは、数多い音楽学者を動員してあの手この手で不都合な事実を糊塗し、国内外へのプロパガンダに、また占領政策に用いるべく、資金も労力も惜しみなくつぎ込んでいく。 芸術の歪曲の実態を、膨大な資料から検証する一冊。