• 本

価値を否定された人々 ナチス・ドイツの強制断種と「安楽死」

出版社名 新評論
出版年月 2021年10月
ISBNコード 978-4-7948-1192-9
4-7948-1192-6
税込価格 3,300円
頁数・縦 330P 20cm

商品内容

要旨

本書は、ナチス・ドイツの強制断種政策と「安楽死」の歴史を、最新の研究成果に基づいて明らかにしようとする試みである。ナチ体制下のドイツでは、ユダヤ人のみならず、病気や障害のある人々、社会規範に逸脱すると見なされた人々が、優生学を背景とする政策によって「価値のない」「社会の負担となる」存在として強制的に断種(不妊化)され、戦時下においては秘密裡に殺害されていた。これらの措置の犠牲になった人々の数は、強制断種が四〇万人、「安楽死」が三〇万人とされている。本書は、この事象の計画や実行のプロセス、思想的背景、加害者となった医療や福祉関係者、および犠牲者とその家族の姿などを描くとともに、この問題が長きにわたる忘却と隠蔽の時代を経て、近年ようやく「ナチの不正」として謝罪と補償、そして追悼の対象となるまでの道のりを明らかにする。

目次

第1章 優生学とナチス・ドイツの強制断種手術(優生学とは
ヴァイマル共和国時代の優生学 ほか)
第2章 「安楽死」という名の大量虐殺―その始まりと展開(「良い死」と大量殺害―安楽死という言葉をめぐって
さまざまな殺害―ナチスによる「安楽死」の概観 ほか)
第3章 「安楽死」の犠牲者―バイエルン地方のある精神病院の事例から(エグルフィング・ハール精神病院
「安楽死」の展開と犠牲者の経験 ほか)
第4章 強制断種・「安楽死」の過去の戦後ドイツ(関与した者たちはどう裁かれたのか
医学界はナチの過去とどのように向き合ってきたのか ほか)

著者紹介

中野 智世 (ナカノ トモヨ)  
成城大学文芸学部教授。専門はドイツ近現代史・社会史
木畑 和子 (キバタ カズコ)  
成城大学名誉教授。専門はドイツ現代史
梅原 秀元 (ウメハラ ヒデハル)  
立教大学文学部特任准教授。専門は近現代のドイツをフィールドに医学史・科学と社会の関係の歴史・社会史
紀 愛子 (キノ アイコ)  
早稲田大学等非常勤講師。専門はドイツ現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)