• 本

一冊の、ささやかな、本 ヴァルター・ベンヤミン『一九〇〇年ごろのベルリンの幼年時代』研究

出版社名 みすず書房
出版年月 2023年1月
ISBNコード 978-4-622-09585-9
4-622-09585-8
税込価格 7,700円
頁数・縦 370,15P 22cm

商品内容

要旨

1930年代のヨーロッパ、亡命生活のさなかにヴァルター・ベンヤミンは『1900年ごろのベルリンの幼年時代』を「一冊の、ささやかな、本」として世に出すことを試み続けた。1932年秋に執筆が開始された『幼年時代』は、足かけ7年におよぶ推敲作業を経て、1938年パリ脱出の直前に完成稿がジョルジュ・バタイユに預けられたのち、1981年にジョルジュ・アガンベンによってパリ国立図書館で発見された。ベンヤミンはなぜ本書の完成と出版に執着したのか。本書が完成稿へといたる道筋とそこに収斂された思想とは何か。「だからこそ『幼年時代』においては、子どもが主人公として選択されなくてはならなかった。すなわち、すでに喪失した能力としての“不器用さ”をかつての“わたし”=子どもから学びとるために」。手稿、メモ書き、タイプ稿など各ヴァージョンの生成過程をたどり、回想という方法、主人公としての子ども、書物という媒体の形式から、彼が完成と出版にこだわった30篇のテクストを読み解く。新全集版に基づく新たな『幼年時代』研究。

目次

序論
第1部 「故郷」の削除―回想方法(「郷愁」から離れて
方法としての「研究」
せむしの小人に出会うために)
第2部 ベンヤミンの“子どもの世界”―主人公(世界の組み替え
「世界史」との対決
世界を歪める)
第3部 「一冊の、ささやかな、本」―形式(「家」としての書物
書物と「傷」)

著者紹介

田邉 恵子 (タナベ ケイコ)  
1988年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門はドイツ思想。現在、新潟大学人文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)