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スポーツの価値

集英社新書 1176

出版社名 集英社
出版年月 2023年8月
ISBNコード 978-4-08-721276-1
4-08-721276-9
税込価格 1,078円
頁数・縦 189P 18cm

商品内容

要旨

部活動での体罰や、勝利至上主義、アスリートのメンタルヘルスなど、近年スポーツに関する様々な問題が浮上。この構造を温存させてきたのが、理不尽なことにも従順に従う風土である。それによって「体育会系」学生は、無理な仕事も拒まないと見なされ、就職活動でも有利に働き、組織の中で重宝されてきた側面がある。しかし、スポーツの価値はそこにあるのではない。スポーツによって磨かれるのは、フェアプレーの精神や論理的思考、対話能力である。これらは社会の分断を乗り越え、コミュニティを支える基盤ともなる。本書では日本のスポーツ界に潜む病根を忖度なく指摘し、スポーツの真の価値を提言する。

目次

序章 東京五輪の「レガシー」とは何だったのか?(東京五輪検証の意義
五輪が特別である理由 ほか)
第1章 子どもが輝くスポーツのあり方(勝利至上主義が、子どもを潰す
若年層の全国大会は必要ない ほか)
第2章 スポーツから考えるジェンダー平等(五輪のジェンダー平等
偏見やジェンダーバイアスとの闘い ほか)
第3章 沈黙するアスリートたち(アスリートはスポーツだけしていればいいのか
オリンピアンとしての誇り ほか)
終章 スポーツの価値とは何か(スポーツは社会を映す鏡
「違いがあるのは良いことだ」というメッセージ ほか)

出版社・メーカーコメント

部活動での体罰や、勝利至上主義、アスリートのメンタルヘルスなど、近年スポーツに関する様々な問題が浮上している。 この構造を温存させてきたのが、理不尽なことにも従順に従う風土である。 それによって「体育会系」学生は、無理な仕事も拒まないと見なされ、就職活動でも有利に働き、組織の中で重用されてきた側面がある。 しかし、スポーツの価値はそこにあるのではない。 スポーツによって磨かれるのは、論理的かつ戦略的な思考、コミュニケーション能力、そして何より忖度なくフェアにプレー(行動)する精神である。 これらは社会の分断を乗り越え、コミュニティを支える基盤ともなる。 つまりスポーツには、社会を変革する力がある──。 本書では日本のスポーツ界に潜む病根を忖度なく指摘し、スポーツの真の価値を提言する。 【「はじめに」より】 スポーツを通して自分とは異なる他者と出会い、力を合わせて競技する中で、多様性の重要性を理解したり、コミュニケーション能力が高まります。 スポーツを介したつながりは、コミュニティを支える基盤にもなり得ます。また、スポーツによって鍛えられる分析力や行動力、戦略性は、学業やビジネスにも役立ちます。 本書では、このような「スポーツの多様な価値」を考えたいと思います。 【目次】 はじめに…スポーツは感動の「打ち上げ花火」?/スポーツが変われば社会が変わる  序章―東京五輪の「レガシー」とは何だったのか?…東京五輪検証の意義/勝利至上主義が選手を追い詰める/アスリートのメンタルヘルスを守るために/希望の萌芽 第1章―子どもが輝くスポーツのあり方…若年層の全国大会は必要ない/フランスの親はなぜ子どもに柔道をさせるのか/自己評価できれば弱くても続けられる 第2章―スポーツから考えるジェンダー平等…指導者の資質に男女差はない/「数」から「質」へ 第3章―沈黙するアスリートたち…声を上げる海外の選手たち/毅然とした態度が取れない日本のスポーツ界 終章―スポーツの価値とは何か…スポーツは社会を映す鏡/「体育会系」がもてはやされる時代の終焉/スポーツが文化となるために おわりに

著者紹介

山口 香 (ヤマグチ カオリ)  
筑波大学教授。柔道家。第一回全日本女子体重別選手権大会で最年少優勝。以後一〇連覇を達成。世界選手権では四個の銀メダルと、日本女子初の金メダルを獲得。1988年ソウル五輪では銅メダルに輝き、翌年引退。シドニー五輪、アテネ五輪で日本柔道チームのコーチを務めた後、日本オリンピック委員会(JOC)理事などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)