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数値と客観性 科学と社会における信頼の獲得

新装版

出版社名 みすず書房
出版年月 2024年9月
ISBNコード 978-4-622-09744-0
4-622-09744-3
税込価格 6,820円
頁数・縦 316,74P 22cm
シリーズ名 数値と客観性

商品内容

要旨

GNP、PISA、放射線量、数値にした瞬間に一人歩きするものは世に多い。なぜ数字になると信頼するのだろう。どうして星や分子や細胞の研究で成功した方法が、社会の事象をあつかうにも妥当と認められるようになったのか。ギリスピーとクーンに学んだ科学史家が、19‐20世紀イギリスの保険数理士、フランスの技術官僚、アメリカ陸軍技術団の史実に即し、社会が数値化される過程を徹底追求。ひるがえって自然科学にとっての数値化の意味を照射する。ローカルノレッジ(局所的な知識)を越える卓抜な技術としての標準化。専門家の裁量に不信の目が向けられるとき、エキスパート・ジャッジメントか客観性か。科学者共同体と社会の鮮やかな政治的・文化的構図を描き、1997年4S(国際科学技術社会論学会)Fleck賞受賞。「日本語版への序」には、東日本大震災とフクシマの原子力発電所事故から2年後の日本の読者にあてたメッセージをふくむ。科学技術社会論をリードする訳者が明快な解題を付す。

目次

第1部 数の力(自然記述の技巧の世界
社会を記述する数値が妥当とされるまで
経済指標と科学の価値
定量化の政治哲学)
第2部 信頼の技術(客観性に対抗する専門家―会計士と保険数理士
フランスの国家技術者と技術官僚の曖昧さ
アメリカ陸軍技術者と費用便益分析の興隆)
第3部 政治的な科学者共同体(客観性と専門分野の政治
科学は共同体によってつくられている?)

著者紹介

ポーター,セオドア・M. (ポーター,セオドアM.)   Porter,Theodore M.
1953年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校歴史学名誉教授。専門は科学史・科学論。スタンフォード大学、プリンストン大学に学び、チャールズ・ギリスピー、トマス・クーンの指導を受ける。81年、プリンストン大学にてPh.D.(歴史学)取得。82‐83年、ビーレフェルト大学学際研究センター「確率革命」研究プロジェクトに参加し、Kr¨uger et al.eds.,The Probabilistic Revolution,2 vols.(MIT Press、1987)に執筆。2008年にAAAS(全米科学振興協会)代表メンバーに選出された。2023年にHSS(米国科学史学会)のGeorge Sarton Medal受賞
藤垣 裕子 (フジガキ ユウコ)  
1962年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了。学術博士。専門は科学技術社会論・科学計量学。現在、東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系教授。2002‐5年Society for Social Studies of Science(4S)理事。2013‐16年、科学技術社会論学会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)