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社会性の起原と進化始論 種と性を越えた比較研究のために

出版社名 京都大学学術出版会
出版年月 2025年3月
ISBNコード 978-4-8140-0585-7
4-8140-0585-7
税込価格 6,820円
頁数・縦 631P 21cm

商品内容

要旨

社会的動物と言われる種はヒト以外にもたくさんある。しかし、満員電車すなわち外敵からの防衛でも効率的な採餌でもない、適応的意味などどこにもないように見えるのに、身動きも取れない狭い空間で全く関わりのない他個体と数時間を過ごすようなことに耐えられるのはヒト以外にない。そうした独特な集団形成を可能にしたものの本質とは何か?しかしその問いを発した途端、新たな問題が現れる。「ヒトにしかない社会性」とは何なのか?そもそもそれを問う意味があるのか?半世紀を超えて人類社会の進化について考え続けてきた著者たちが、いま、新たな議論のスタート地点に立つ。

目次

Keynote 社会性について議論する前に(「社会性」とは何か、そしてその「起原」とは
カミと孤独、また世捨て人―「延長された社会性」の進化史的意義についての覚書
「車輪の再発明」は避けられるのか―生物学と社会科学の協同による社会進化論)
1 社会性の「核」とは何か?(社会の糸、社会の神秘―伊谷純一郎以来の探究をめぐって
ただ近くにいる同所性の根源的意味―何もしない父親の子育て ほか)
2 社会性が現れる場のエスノグラフィー(他者から/へのまなざしと集合的技術の生成―チテメネ開墾作業を支える社会性
離合集散しづらくなったらどうするか?―社会性からみる飲酒と移動 ほか)
3 「社会性の差分」を見つけ出すために(社会性のオントロギー―イヌイトの共食が拓く人類の社会性の起原と進化をめぐる問い
ニホンザルのアカンボウの集まり―地域間比較の試み ほか)
4 「ヒトの社会性の起原と進化」を越えて(世界の終わりと動物のエスノグラフィー
サルを観察する人、人を観察するサル―大水無瀬島と情島におけるサルと人の異種間相互行為 ほか)

著者紹介

河合 香吏 (カワイ カオリ)  
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授。1961年生まれ。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了、博士(理学)。主に東アフリカの牧畜社会を対象に、その生業や集団間関係について生態人類学的研究を進める。第1回日本ナイル・エチオピア学会高島賞(1995年)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)