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物語伝承論

出版社名 青土社
出版年月 2025年7月
ISBNコード 978-4-7917-7722-8
4-7917-7722-0
税込価格 5,720円
頁数・縦 557,7P 20cm

商品内容

要旨

「源氏」の物語は書きうつされ、「平家」の物語は語られ、受けつがれてきた。それらはやがて一つの正しい「物語」として正本がつくられる―。どのような力学がそこに働いたのか。この列島の社会に広がる「声」の文学をもとめて各地をめぐり、従来の文学史からはこぼれ落ちる「ものがたり」をひろいあげ、織りなしたとき、いままで見えなかった豊饒な文学世界が浮かびあがる。第一人者がひもとく、誰もみたことのない文学史にして、文学論。

目次

序説
第一部 物語の政治学(歴史としての『源氏物語』
源氏将軍家の芸能―「平家」正本のゆくえ
『平家物語』の演奏―二つのヴァージョン
平曲の成立、創られる伝統)
第二部 物語の伝承学(盲僧琵琶の伝承―物語芸能と神事
物語伝承の生成―口頭伝承論(1)
即興性と同一性―口頭伝承論(2)
記譜法の模索―口頭伝承論(3))
第三部 語り手の位置(源氏将軍家の動向から―当道座の形成と再編
神話と諸職―中世太子伝、職人由緒書など
宿神、蝉丸その他―始祖伝承の意味するもの
語り手とは誰か―ジェンダーのかたち)
第四部 物語の文体と思想(中世仏教史の課題と物語史―「源氏」から「平家」へ
浮舟の「うき身」と救済/非救済の物語
言文一致体の起源―「主体」の観念、「近代的自我」の始まり
『源氏物語』と樋口一葉―方法としての和歌
『源氏物語』の位置―ことばと「現実」)
結語 物語の文献学へ

著者紹介

兵藤 裕己 (ヒョウドウ ヒロミ)  
1950年名古屋市生まれ。専門は日本文学・芸能論。埼玉大学、成城大学を経て、学習院大学教授。文学博士(東京大学)。1996年に『太平記〈よみ〉の可能性』でサントリー学芸賞、2002年『〈声〉の国民国家・日本』(のちに『〈声〉の国民国家』に改題)でやまなし文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)