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どちらでもいい

出版社名 早川書房
出版年月 2006年9月
ISBNコード 978-4-15-208733-1
4-15-208733-1
税込価格 1,540円
頁数・縦 174P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 本書を書店で実際に手にとってみられた読者ならおわかりのように、かけられたオビにある言葉「奇跡の傑作『悪童日記』著者の最新刊」が目を惹く。これは、著者にとって処女作でもあり、母国語ではないフランス語を用いて生まれた傑作への賞賛と、これをを超える作品がいまだ書けていないという著者の述懐が含まれているものと思われる。著者の母国のハンガリーは、少数民族を含め国民のほとんどがハンガリー語を話し、文化的にも優れた人物を排出している国であり、ハンガリー語が文学表現上劣る言語ということは考えられないため、そこに著者の作品に対する信念を感じ取るべきであろう。最初の作品には作家の思想が色濃く反映されているとよく言われるが、本書よりもその奇跡の処女作の方に興味が惹かれる。本書が書かれた背景的なものを参考までに紹介した。(のり)

    (2008年2月17日)

商品内容

要旨

夫が死に至るまでの、信じられないような顛末を語る妻の姿が滑稽な「斧」。廃駅にて、もはや来ることのない列車を待ち続ける老人の物語「北部行きの列車」。まだ見ぬ家族から、初めて手紙をもらった孤児の落胆を描く「郵便受け」。見知らぬ女と会う約束をした男が待ち合わせ場所で経験する悲劇「間違い電話」。さらには、まるで著者自身の無関心を表わすかのような表題作「どちらでもいい」など、アゴタ・クリストフが長年にわたって書きためた全25篇を収録。祖国を離れ、“敵語”で物語を紡ぐ著者の喪失と絶望が色濃く刻まれた異色の短篇集。

出版社
商品紹介

ヴァラエティに富んだ、読者の心を揺さぶらずにはおかない25の短編を収録する『悪童日記』の著者、待望の新刊。

著者紹介

クリストフ,アゴタ (クリストフ,アゴタ)   Kristof,Agota
1935年ハンガリー生まれ。1956年のハンガリー動乱の折りに西側に亡命して以来、スイスのヌーシャテル市在住。1986年にパリのスイユ社から世に送り出したフランス語の処女小説『悪童日記』によって一躍脚光を浴び、その後、続篇の『ふたりの証拠』(88)、『第三の嘘』(91)を発表して三部作を完成させ、力量ある第一級の作家としての地位を確立した。これらの作品は世界30カ国以上で翻訳され、数多くの熱心な読者を獲得した
堀 茂樹 (ホリ シゲキ)  
1952年生、翻訳家、慶應義塾大学総合政策学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)