
北村透谷選集
岩波文庫
出版社名 | 岩波書店 |
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出版年月 | 1978年 |
ISBNコード |
978-4-00-310161-2
(4-00-310161-8) |
税込価格 | 1,122円 |
頁数・縦 | 413P 15cm |
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- 平山書店 (秋田県大仙市)
明治26年1月、北村透谷は島崎藤村らとともに文芸誌『文学界』を創刊した。これと時を同じくして、日本の近代文学史上きわめて重要な事件が起こっている。それが、北村透谷と山路愛山の間に戦われた「人生相渉論争」だ。
山路愛山が、当代の文学を批判する形で「文章は事業であって、人生に相渉らなければ空の空」と有用性を文学の目的として主張したことに端を発し、透谷は文学とは精神の事業であるという部分には理解を示しつつも、人生にとっての文学のありかたを問題とした一連の論争である。透谷は、文学というかぎり根底的生命的な意味で人生に働きかけるものでなければならない、と主張する。透谷の主張は、愛山の功利的な文学観に対する拒否であった。
この論争の過程で、透谷は自らの考えを劇的に深化させた。それは評論の内容が論争前とは全く違うことを見れば明らかである。彼は文芸評論家としての活動に身を灼き尽くし、翌27年5月自宅の庭で自死する。25歳だった。しかし、彼とその仲間が創刊した文芸誌『文学界』は、芥川賞候補作発表の場として、文壇におけるゆるぎない地位を占め今に至る。(のり)(2009年2月3日)
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