• 本

おいしい水

光文社文庫

出版社名 光文社
出版年月 2005年1月
ISBNコード 978-4-334-73812-9
4-334-73812-5
税込価格 755円
頁数・縦 461P 16cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • ありふれた日常の裏で、主婦が抱える苦悩と希望を描いた家庭小説。夫にとって、仕事を仕上げた後の”仕事帰りの一杯”がことさら旨く感じるように、主婦も『おいしい水』を求めているというのがテーマ。子育て、家事、夫の世話、主婦の生活は毎日判で押したように同じことの繰り返しである。夫が仕事で得られる充実感や達成感が主婦にはない。この作品に登場する5人の主婦は、おいしい水を求めて迷走する。丹念な取材に基づく主婦達の心理描写がリアルに迫る。著者の盛田隆二は、細部の描写まで手を抜かない。人が普段胸に秘めている陰の部分までも明らかにしていく。そのため盛田氏の作品は、傍観者のまま読み進めることを許さない。当事者の痛みの伝わり方が直接的でビンビン響き、気を抜いたら圧倒されそうだ。そんな危うい鋭さが盛田氏にはある。(のり)

    (2008年2月3日)

商品内容

要旨

同じマンションの主婦仲間と子育てに勤しむ三十歳の弥生。夫の微妙な変化に気付きながらも、社会との接点を求めて、タウン紙のライターを始める。そこに、新たに入居した隣人のあけすけな言動が、平穏だった日常をねじれさせていく…。リアリズムの名手が切実に描く、人生の岐路に立つ女性の“渇き”と“癒し”。あなたにとって結婚は“おいしい水”ですか。

著者紹介

盛田 隆二 (モリタ リュウジ)  
1954年東京生まれ。’85年「夜よりも長い夢」で、「早稲田文学」新人賞入選。「ぴあ」の編集者を経て、’96年より作家専業。恋愛小説を中心に男女の切ない思いを描き、リアリズムの名手として評価は高い。批評家の絶賛を受けた『湾岸ラプソディ』(角川書店より文庫化に際し、『夜の果てまで』と改題)はベストセラーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)