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秋の金魚

小学館文庫

出版社名 小学館
出版年月 2005年11月
ISBNコード 978-4-09-408057-5
4-09-408057-0
税込価格 628円
頁数・縦 318P 16cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 新進時代小説作家、河治和香(かわじ わか)さんのデビュー作をご紹介する。舞台はは幕末から明治にかけての江戸。二人の海軍青年士官のあいだで生きた女性の半生を描く。男たちは船乗りゆえ、長く帰らないことが多い。この作品の良さは、帰りを待つ女ごころのいとしさを見事に描ききったことだろう。女性が男たちの碇となった時代を素直に表現してみせてくれた。日々の営みをいとおしむように生活する女性の丁寧な描写は、まさに著者の矜持を感じさせる。航海に出ては女性のもとへ帰る生活のなかで、一人は破綻し、もう一人は晩年死の間際まで添い遂げたこの明暗が好対照。また、的確な時代考証が本作に重みを与えている。表紙の挿絵は、著者が師事した画家の三谷一馬氏の手になるもので、受賞のお祝いにと御年90歳で絵筆をとったという。現在『国芳一門絵草紙』シリーズを展開中の河冶さんだが、そちらのほうもぜひ手にとってみていただきたい。(のり)

    (2007年12月23日)

商品内容

要旨

咸臨丸から五稜郭へ。幕末、維新、二人の青年士。官の愛の狭間に揺れる女心。第2回小学館文庫小説賞受賞。

出版社・メーカーコメント

激動の幕末から明治、日本の夜明けを切り開いた〈咸臨丸〉使節団に選ばれた二人の青年士官。時節に明と暗を分かつ二人のはざまに揺れる女心。  韮山代官江川太郎左衛門配下の俊鋭たちが、海に陸に日本の近代化をおしすすめる。そのエネルギーに翻弄されながらも、男たちの碇となる時代の女を描く。第2回小学館文庫小説賞受賞作。(編集担当/小学館出版局文庫・文芸編集 唐沢大和)

著者紹介

河治 和香 (カワジ ワカ)  
1961年東京都生まれ。日本大学芸術学部卒業。三谷一馬氏に師事して江戸風俗を学ぶ。別名による映画脚本作品あり。『秋の金魚』で、第2回小学館文庫小説賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)