南海に散った信長の後を襲い、織田大日本次代皇帝に命じられた、幸村。国の行く末を考えて、きわめてまっとうな後継者選びではあったが、養子であった幸村の前途にはだかる壁はあまりにも高く、熱い。西洋諸国の蠢動、国内大名連中の動揺…外圧は数知れない。さりとて、幸村をもっとも悩ますものは、内にいる。信長の跡目とみられていた次男信雄、その人である。新皇帝の側近となる蒲生氏郷は、傍目にもわかるような息を吐いた。信雄が万一挙兵すれば、国内は未曾有の混乱に陥る。（その隙を各国につかれたら…）那古野宮殿の門前で幸村を待ち受ける信雄の一行。『覇信長記』シリーズ最新作。新たなる時代が始まろうとしていた。