書店レビュー
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- 平山書店 (秋田県大仙市)
阿佐田哲也氏の傑作博打小説『麻雀放浪記』シリーズも本巻をもって完結する。本巻では、これまで主役を務めてきた”坊や哲”はサラリーマンなっておりほとんど麻雀を打たない。このシリーズの終末を認識させられる内容で、順番に読んできた読者としてはちとさびしい。それとは対照的にゴロとして健在なのが上野(ノガミ)の健こと”ドサ健”である。そのイカサマの腕は全く錆びておらず、いくつもの鮮やかな技を披露してくれる。このシリーズは終戦直後から約二十年間の世相とともに歩んできた。社会がいったん解体された戦後の混乱期において、個人の才覚がものをいった時代から、復興と共に個人から組織へと社会の重心は変わっていった。博打の世界にも描かれたこの移り変わりは、本シリーズを通して読みぬく際の大きな道しるべである。(のり)
(2008年4月10日)
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商品内容
要旨 |
戦後も安定期に入った。私こと「坊や哲」は唐辛子中毒で身体を壊し麻雀から足を洗って勤め人となった。ある日、会社の仔分がおそろしく派手な毛皮の半オーバーに鍔の広いテンガロンハットをかぶった一人の男を連れてきた。ドサ健だった。そして私は、再び麻雀の世界に身を投じることになった。感動の完結篇。 |
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