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abさんご

出版社名 文藝春秋
出版年月 2013年1月
ISBNコード 978-4-16-382000-2
4-16-382000-0
税込価格 1,320円
頁数・縦 81,47P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • abさんご

    文学の可能性、小説の可能性はまだまだ無限である。そう思わせてくれる超実験的小説に出会えた。ご存知の、これが芥川賞受賞作。とかく著者の最高齢受賞が話題になりがちだが、作品の真価は間違いないとのお墨付き。横書きでありながら、やまと言葉を駆使した文体は、たしかに読み応え感がいっぱいで、いつもとは違った気力を求められるかもしれない。しかしながら、こんな読書体験も貴重である。「読んだぞ!」っていう充足感に包まれる心地よさがある。著者の初期作品も興味をそそられる。ひとりの作家の年輪がひしひしと伝わって心地よい。

    (2013年3月21日)

商品内容

文学賞情報

2012年 第148回 芥川賞受賞
2012年 第24回 早稲田文学新人賞受賞

要旨

二つの書庫と巻き貝状の小べやのある「昭和」の家庭で育ったひとり児の運命。記憶の断片で織りなされた、夢のように美しい世界。第148回芥川賞受賞作。

出版社・メーカーコメント

【第148回芥川賞受賞作】

75歳の「新人女性作家」のデビュー作。蓮實重彦・東大元総長の絶賛を浴びて、「早稲田文学新人賞」を受賞した表題作「abさんご」。全文横書き、かつ「固有名詞」を一切使わないという日本語の限界に挑んだ超実験小説ながら、その文章には、「昭和」の知的な家庭に生まれたひとりの幼子が成長し、両親を見送るまでの美しくしなやかな物語が隠されています。著者は、昭和34年に早稲田大学教育学部を卒業後、教員・校正者などとして働きながら、半世紀以上ひたむきに「文学」と向き合ってきました。昭和38年には丹羽文雄が選考委員を務める「読売短編小説賞」に入選します。本書には丹羽から「この作者には素質があるようだ」との選評を引き出した幻のデビュー作≠ルか2編も併録します。しかもその部分は縦書きなので、前からも後ろからも読める「誰も見たことがない」装丁でお送りします。はたして、著者の「50年かけた小説修行」とはどのようなものだったのでしょうか。その答えは、本書を読んだ読者にしかわかりません。文学の限りない可能性を示す、若々しく成熟した作品をお楽しみください。

著者紹介

黒田 夏子 (クロダ ナツコ)  
1937年、東京生まれ。59年、早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。教員、事務員、校正者として働くかたわら、同人誌に所属して小説を書き続ける。63年、「abさんご」所収の「毬」が、第63回読売短編小説賞(選考委員・丹羽文雄)に入選、紙面に作品が掲載される。2012年9月「abさんご」で第24回早稲田文学新人賞(選考委員・蓮實重彦東京大学名誉教授)を受賞、75歳にして作家デビューを遂げる。同作は第148回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)