• 本

ティンブクトゥ

出版社名 新潮社
出版年月 2006年9月
ISBNコード 978-4-10-521711-2
4-10-521711-9
税込価格 1,760円
頁数・縦 207P 20cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 著者のポール・オースター氏は1947年生まれのユダヤ系アメリカ人作家。推理小説の分野で、1980年代半ばに発表した「ニューヨーク三部作」で大きく評価される。近代文学の秩序性、独創性、簡潔性等といった特徴のアンチテーゼとしてのポストモダン文学的な香りが濃厚に漂う、著者独特の手法で書かれたものである。本書はいわゆる推理小説の形をとってはいないが、前述した彼の文学上の特徴が明瞭に現れた作品である。飼い犬の目から見た世界が、飼い主との別れ、新しい家族との出会い、また元の飼い主への思慕行動などを通じて描かれる。その表現は妄想、夢、時間の逆行など通常のわれわれの意識の下ではとまどいの連続である。だが、これは犬の世界なのだと気付くと、この実験的な作品が急に興味深く思えてくる。嗅覚で生きる動物と人間とでは同じ場所にいても感じる世界は違う。同じ人間同士でも物事の受け取り方が異なることがままあるが、それでも一通りの秩序が維持できているのは奇跡に近いことだと感嘆せざるを得ないのである。(のり)

    (2008年1月14日)

商品内容

要旨

犬のミスター・ボーンズと飼い主の詩人ウィリーは初めから気のあう仲間だった。放浪癖のあるウィリーは、一緒に旅をしながらぶっ続けで話をしてくれた。だからミスター・ボーンズは、言葉を理解出来るようになった。そしてウィリーはもう先行き長くない―。出会いの喜び、別れの悲しみ。犬の視点で、世界を描くことを成功させた、オースターの最高傑作ラブ・ストーリー。

おすすめコメント

優しかったウィリーに再会するために、ティンブクトゥへ行こう……。犬と飼い主の感動的な物語。 犬のミスター・ボーンズと飼い主の詩人ウィリーは気のあう仲間だった。放浪癖のあるウィリーは、旅の間中、話をしてくれた。だからミスター・ボーンズは、言葉が分かるようになった。でもウィリーはもう先行き長くない――。出会いの喜び、別れの悲しみ。犬の視点で世界を描くことを成功させた、オースターの最高傑作ラブ・ストーリー。

著者紹介

オースター,ポール (オースター,ポール)   Auster,Paul
1947年、ニュージャージー州ニューアーク生まれ。コロンビア大学を卒業後、石油タンカー乗組員、山荘管理人などの職を転々としながら翻訳、詩作に携わる。82年、初めての散文作品『孤独の発明』を書いたのち、85年から86年にかけて刊行された「ニューヨーク三部作」で小説家となる。以来着々と秀作を発表し、フランス、ドイツ、日本などでは本国アメリカ以上に評価の高い世界的人気作家として活躍している
柴田 元幸 (シバタ モトユキ)  
1954年、東京生まれ。東京大学文学部教授。専攻、現代アメリカ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)