• 本

魚料理のサイエンス

新潮文庫 な−84−1

出版社名 新潮社
出版年月 2014年1月
ISBNコード 978-4-10-125611-5
4-10-125611-X
税込価格 572円
頁数・縦 314P 16cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 「なぜ」美味しいのかを紐解く、キッチン・サイエンス

     我々日本人の食卓にもはや欠かす事のできない食材、魚。その宗とするところは
    食材個々の持ち味にあり、そして旨味にある事は周知の事実だろう。しかしながら、
    その旨味がどこから来ているのか、なぜ旨いのかを知る機会となると限られてくる。

     本書は日本人にとって親しみ深い魚種にスポットを当て、その魚の持ち味の根源、
    旨味の根源を科学的に分析し、わかりやすく解説する一冊である。腹の膨らんだ
    アナゴはなぜ良くないか、料理法に応じたイカの選び方と旨味の性質の違いなど、
    高級感漂う魚種からきわめて日常的な魚種まで、より深く魚について理解し、より
    素材の良さを引き出して料理をする上での助けとなる内容が多く解説されている。

     料理と科学というと、あたかも化学式や構造式を思い浮かべ、互いに相成れない
    印象を抱く方もいるかもしれない。しかし本書はあくまでも平易な表現につとめ、
    科学を通じて食材のよさをより一層料理へと昇華させる手助けをしてくれる一冊と
    言える。実際に料理中に開くには読み応えがある本なので、美味しそうな魚料理を
    頭に思い浮かべながらじっくりと読んでいきたい。

    (2014年5月31日)

商品内容

要旨

日本料理のベース、鰹節の旨みは多く含まれたイノシン酸によることはよく知られている。なぜ鰹にイノシン酸が多いのか。それは黒潮を泳ぐその生態と関係する。そして鰹のタタキはなぜ好まれるのか、その調理法は―。魚の生態と旬を紹介し、旨みを科学的に説明。料理のコツ、料理人の仕事、健康との関わりなど、エピソードを交えてやさしく解説。だからこうすれば美味しくなる!

目次

鰺―買うのは午前中がベスト/旨味の決め手はイノシン酸/鰺の干物と生活の知恵
穴子―関東風か関西風か/鰻よりさっぱりした味/旨味の素は、海老、蟹、小魚
鮎―「香魚」の所以/塩焼きのコツ
鮟鱇―秘伝「吊るし切り」/味噌仕立てが絶品
烏賊―烏賊墨と蛸墨は違う/烏賊の甘味はアデノシン一リン酸/皮を上手にむくには
鰯―鮮度が肝心/生臭さを消すコツ
鰻―天然ものと養殖ものの見分け方/蒲焼きの匂いの秘密/ロシア人も大好き
鰹―下り(戻り)鰹に人気/鰹節の旨味はイノシン酸/江戸っ子の工夫〔ほか〕

著者紹介

成瀬 宇平 (ナルセ ウヘイ)  
1935(昭和10)年福島県生れ。医学博士。日本大学農獣医学部(当時)卒業。同大学講師、東邦大学医学部研究生、東京大学応用微生物研究所研究生を経て、武蔵野栄養専門学校講師、鎌倉女子大学教授、同家政学部長を歴任。現在鎌倉女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)