
妻に捧げた1778話
新潮新書 069
出版社名 | 新潮社 |
---|---|
出版年月 | 2004年5月 |
ISBNコード |
978-4-10-610069-7
(4-10-610069-X) |
税込価格 | 968円 |
頁数・縦 | 207P 18cm |
商品内容
要旨 |
余命は一年、そう宣告された妻のために、小説家である夫は、とても不可能と思われる約束をする。しかし、夫はその言葉通り、毎日一篇のお話を書き続けた。五年間頑張った妻が亡くなった日、最後の原稿の最後の行に夫は書いた―「また一緒に暮らしましょう」。妻のために書かれた一七七八篇から選んだ十九篇に、闘病生活と四十年以上にわたる結婚生活を振り返るエッセイを合わせた、ちょっと風変わりな愛妻物語。 |
---|---|
目次 |
毎日一話 |
おすすめコメント
癌の妻、闘病5年。夫は毎日一話、書き続けた。ちょっと変わった愛妻物語。 余命は一年、そう宣告された妻のために、小説家である夫は、とても不可能と思われる約束をした。しかし、夫はその言葉通り、毎日一篇のお話を書き続けた。五年間頑張った妻が亡くなった日の最後の原稿、最後の行に夫は書いた──「また一緒に暮らしましょう」。妻のために書かれた1778篇から19篇を選び、妻の闘病生活と夫婦の長かった結婚生活を振り返るエッセイを合わせたちょっと変わった愛妻物語。
内容抜粋
本書「少し長いあとがき」より
一日一話にしても、実のところ妻には迷惑だったのではないか?一日一話のことのみならず、ひとつひとつ記憶がよみがえるたびに、あのとき、ああすればよかったのではないか、こうすればよかったのではないか、との悔いが出てきて、しかも、何が正解だったのか、いまだにわからないのである。そして今となっては、たしかめるすべもない。だが。私は癌になった当人ではなかった。その私が、妻の心境をいくら推察しようとしても、本当のところがわかるはずがないのだ。そして・・・私は思うのである。人と人がお互いに信じ合い、共に生きてゆくためには、何も相手の心の隅から隅まで知る必要はないのだ。生きる根幹、めざす方向が同じでありさえすれば、それでいいのである。私たちはそうだったのだ。それでいいのではないか。間もなく妻の三回忌だ。毎日短い話を書いたことについても、自分にはそれしかできなかったのだ、と現在の私は考えることにしている。そしてその五年間は、私たち夫婦にとっても、また私自身の物書きとしての生涯の中でも、画然とした一個の時期であり、ただの流れ行く年月ではなかったのである。妻へ−読んでくれて、ありがとう。(眉村卓)