「永遠女性」を追って紡ぎ出される数々の『物語』。「刺青」「痴人の愛」「蓼喰ふ虫」「鍵」「瘋癲老人日記」などの各作品論に固執しつつ、その構造と方法を解き明かし、谷崎文学の全体像に迫る。

第１章　谷崎文学の出発―「刺青」の意味と出発期の課題
第２章　「異端者の悲しみ」のモチーフ―自伝小説の意味
第３章　「痴人の愛」論―方法としての「西洋」
第４章　「卍（まんじ）」論
第５章　「蓼喰ふ虫」論―淡路という「空間」
第６章　陰翳の美学
第７章　「少将滋幹の母」の構造と方法
第８章　「鍵」のモチーフ
第９章　「残虐記」の意味
第１０章　「瘋癲老人日記」論―作品の論理と作家の夢想