2004年 第55回 芸術選奨・文部科学大臣賞（文学関係）受賞

柳田国男の膨大な著作は、近代日本の思想の中にどういう位置をしめているのか？彼のたてた「日本人」の淵源へ向けた問いをめぐり、柳田の作品そのものに即して、その生いたちと環境、思念と想像、表現と文体を、精密に、かつ情意あふれる筆致で解読する批評の傑作。

『山の人生』をめぐって
秋山もの狂い
神童の危機―故郷にて
旅の山伏のほうへ―山の発見
文章苦悶時代と詩のわかれ
『山島民譚集』の世界―新国学の芽ばえ
連句の詩学と座の学問
旅の黄金時代と風景の発見
達識者の愁い―風景との融和
何故に日本人は惨なりや―近代日本の都市風景
魂のゆきき―風景の完成
ふくろうと蝸牛

柳田の「日本人とは何か」という問いをめぐり、作品群そのものに即し、生いたちと環境、思念と想像、表現と文体を精密な筆致で解読。