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理系の読み方 ガチガチの理系出身作家が小説のことを本気で考えてみた

出版社名 誠文堂新光社
出版年月 2025年10月
ISBNコード 978-4-416-72368-5
4-416-72368-7
税込価格 1,980円
頁数・縦 223P 19cm

商品内容

要旨

『変身』(カフカ)、『百年の孤独』(ガルシア=マルケス)、『灯台へ』(ウルフ)、『これはペンです』(円城塔)…。古今東西の名作を題材に、小説を理系的に読み解く読書エッセイ。

目次

講義編(小説を『解く』(前編)―カフカ作品と熱力学
小説を『解く』(後編)―小説に働く力
小説を『近似』する―『よくわからない小説』をどう読むか?
小説を『使いこなす』(前編)―『ゲーム』としての小説!?
小説を『使いこなす』(後編)―解ける謎と解けない謎 ほか)
実践編(作家たちの犯行の記録―特殊設定ミステリ試論
幽体離脱する「私」―「拡張された私小説」としての滝口悠生)

出版社・メーカーコメント

・・・★ヨビノリたくみ氏(教育系YouTuber)推薦!★「この熱量で話しかけてくる大学院生時代の友人を思い出しました。 理系の良いところと悪いところの全てが詰まった一冊です!」・・・理系のバックグラウンドを持つ作家・大滝瓶太が誘う、理系的な名作の読み方。小説を「構造体」として読み解こうとする姿勢は、自然科学における物質の構造解析に通じます。本書の前半は「講義編」と位置づけ、理系的な読書の思索法を提示していきます。序盤に論じられるのは、フランツ・カフカの『変身』『城』といった作品群。カフカ作品の中には「解ける問題」が仕込まれている。それを読み解くことは、読者が自らの想像力と論理的思考を駆使して「小説を解く」行為に他ならない。これは単なる物語理解ではなく、複雑な構造やテーマを知的にシミュレートする試みなのです。小説を「解く」から始まり、「発見する」、「近似する」、「使いこなす」、「読む」、「小説する」、そして最終的には「書く」と展開していきます。登場する本は、ガブリエル・ガルシア マルケス『百年の孤独』、ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』から円城塔『これはペンです』など幅広く、取り上げるテーマも「ジャンル考」、「メタフィクション」、「人称問題」など多岐にわたります。さらに、本格ミステリに見られる「競技性」にも言及し、小説とは問題を提示し、それを解決へと導く知的ゲームであるという視点を提示します。後半は「実践編」とし、「特殊設定ミステリ試論」、「幽体離脱する『私』ーー『拡張された私小説』としての滝口悠生」を収録。滝口悠生の小説に見られる語りの技巧や、読書中に生じる「ノイズ」の意義にも着目。ノイズがもたらす読解の揺らぎこそが、作品の多層的な意味を引き出す鍵であると捉えます。小説はなぜ書けてしまうのかーーこの根源的な問いに挑む著者が、自らの経験と知識をもとに描き出すのは、小説を「読む」ことの再発見であり、「書く」ことの新しい地平。科学と思索、構造と物語が交差する、知的刺激に満ちた読書エッセイの誕生。

著者紹介

大滝 瓶太 (オオタキ ビンタ)  
作家。1986年生まれ。兵庫県淡路市出身。京都大学大学院工学研究科(博士後期課程)を単位取得満期退学。2018年、第1回阿波しらさぎ文学賞を受賞。2023年、初のミステリー作品にして単著デビュー作『その謎を解いてはいけない』(実業之日本社)を刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)