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ハイジの生みの親ヨハンナ・シュピーリ

出版社名 青弓社
出版年月 2024年8月
ISBNコード 978-4-7872-9276-6
4-7872-9276-5
税込価格 3,740円
頁数・縦 300P 21cm

商品内容

要旨

近代ヨーロッパ社会の諸相が織り込まれたシュピーリ文学をひもとき、名作児童文学の傑作『ハイジ』誕生の現場に肉薄するとともに、数多くの翻訳・翻案・映像化からなる「ハイジ現象」のうねりを鳥瞰し、スイスの国民神話にまで上り詰めた「アルプスの少女」の魅力の正体を探る。

目次

第1部 ヨハンナ・シュピーリの文学世界(ヨハンナ・シュピーリの修業時代と遍歴時代
匿名作家J・Sの歩み―『フローニ』ほか初期作品
自然と教育のせめぎ合い―『ハイジ』:1
キリスト教の複雑な役割―『ハイジ』:2
女性の大学教育と職業―『ジーナ』
社会運動へのまなざし―『コルネリ』ほか後期作品)
第2部 「ハイジ現象」の射程(「アルプスの少女」神話の系譜―ミミリ、アデライーデ、ハイジ
シャルル・トリッテンのフランス語『ハイジ』続篇
少女のための物語―日本の『ハイジ』受容の始まり
『ハイジ』映像化の百年)

出版社・メーカーコメント

世界中で読み継がれている児童文学の古典的名作『ハイジ』。高畑勲演出のテレビアニメ『アルプスの少女ハイジ』をはじめ、映画、テレビドラマ、漫画や絵本など、多彩なメディアへの翻案を提供している『ハイジ』は、これらの氾濫するイメージに追いやられ、19世紀スイスに生きた原作者ヨハンナ・シュピーリその人に光が当たることはきわめてまれだ。本書では、近代ヨーロッパ社会のさまざまな問題が織り込まれたシュピーリ文学の諸相を検証し、女性の自己実現、自然と教育のせめぎ合い、キリスト教信仰への思い、また社会運動へのまなざしなどのテーマが彼女の作品群でどのように変奏されていったのかを明らかにする。そして、その道筋の半ばに現れた傑作『ハイジ』の到達点をあらためて考察する。爆発的な売れ行きをみせた『ハイジ』はまた、第三者による非公式の続篇の跋扈、数えきれないほどの映像化作品、そして日本でも多様なバリエーションの翻訳を生み出している。こうした「ハイジ現象」のうねりを鳥瞰しながら、スイスという国のイメージを規定する国民神話にまで上り詰めた「アルプスの少女」の魅力の正体を探る。