汽水域
出版社名 | 双葉社 |
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出版年月 | 2025年2月 |
ISBNコード |
978-4-575-24798-5
(4-575-24798-7) |
税込価格 | 2,090円 |
頁数・縦 | 364P 19cm |
NetGalley 会員レビュー
おすすめ度 まずタイトルに惹かれた。海水と淡水が混じり合う汽水域。読み終えた今、このタイトルが切なくグッと心に沁みてくる。無差別殺傷事件を起こし「死刑になりたかった」と言った犯人の男。その事件を取材するフリーの雑誌記者・安田の動向の詳細な描写と、彼の信条として伝えようとする事件の背景や真相は、好き勝手な犯人像を無責任に拡散するネット民や自社利益重視のメディアとは対極にあり、自らを曝け出して犯人と対峙するうちに芽生えた"紙一重"との思いが、彼の仕事の正しさを期せずして証明している。失うものが無い"無敵の人"を作らないために、我々にできることは…?SNS社会に問う今読むべき1冊!
おすすめ度 汽水:海水と淡水の混ざった水。誰もが常に、善悪の汽水域を漂っている。100%の善や悪に浸っている人間はいない。バランスをとって生きている。どこにでもいる一般人が無差別殺傷犯になり得る…。死刑になりたいと事件を起こした深瀬をフリーの事件記者安田が取材する。事件解決に向けたミステリではなく、動機や心情をに迫る展開に安田の元妻や7歳の息子、仕事先、取材対象者を通して安田の疑問や葛藤が描かれるので、いわゆる“大量殺傷事件”小説とは切り口が異なるので、奥行きがあり、とても読み応えがあった。ラストに驚きつつも、フィクションを超越したものを感じた。
おすすめ度 無差別殺傷事件の犯人の「死刑になりたい」と語った真意はどこにあるのか。記者・安田の事件への拘りが彼の過去となにか関係があるのか。 その想いは、読み進めながら不安と共に濃くなっていった。人の命を無差別に奪った犯人に同情はできない。しかし、決して罪を犯さないと言い切れないのが人間だ。自分と彼と何が違うというのか。少しの小さな違いで、その場にいたのは自分かもしれないという戸惑いと恐れの感情の揺れが胸に迫ってきました。孤独の中で、それでも誰かが見てくれていると信じることができたなら流されることはない。祈りのようなラストに涙が滲んでしまった。 上記レビューの提供元:NetGalley(株式会社メディアドゥ) NetGalleyとは、本を応援するWEBサイトです。 |
商品内容
要旨 |
死傷者七名を出した無差別殺傷事件が発生。事件記者の安田は犯人の男について調べるうちに、執着ともいえるほどの興味を抱いていく。男は社会から見捨てられた被害者か、凶悪で卑劣な加害者か。やがて辿り着く、犯人の真の「動機」とは―この犯人は、何かが違う。直木賞候補の著者が放つ、慟哭の社会派サスペンス。 |
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出版社・メーカーコメント
亀戸で複数の死傷者を出した無差別殺傷事件が発生。犯人の深瀬という男は逮捕後、「死刑になりたかった」と供述している。事件記者の安田賢太郎は週刊誌での連載のため、深瀬とかかわりのある人物にインタビューしていく。彼の人生を調べていくうちに、不思議と共感を覚えていく安田。しかし、安田の執筆した記事によって、深瀬の模倣犯が出現して…。社会との繋がりを失った人々の絶望と希望を紡ぎ出す、迫真のサスペンス。