• 本

朔が満ちる

出版社名 朝日新聞出版
出版年月 2021年7月
ISBNコード 978-4-02-251767-8
4-02-251767-0
税込価格 1,870円
頁数・縦 322P 20cm

商品内容

要旨

家庭内暴力をふるい続ける父親を殺そうとした過去を封印し、孤独に生きる文也。ある日、出会った女性・梓からも、自分と同じ匂いを感じた―家族を「暴力」で棄損された二人の、これは「決別」と「再生」の物語。

出版社・メーカーコメント

かつて中学1年の時に僕は、酒を飲む度に荒れる父親に手を焼き、遂に斧で殴りかかって殺そうとしたことがある──心に傷を負ったまま家族とも離れ、悪夢のような記憶とともに生きていく史也。荒んだ生活の中で、看護師の千尋との出会いから、徐々に自身の過去に向き合おうとする──これは「決別」と「再生」の物語。サバイブ、したのか? 俺ら。家族という戦場から――家庭内暴力を振るい続ける父親を殺そうとした過去を封印し、孤独に生きる文也。ある日、出会った女性・梓からも、自分と同じ匂いを感じた――家族を「暴力」で棄損された二人の、これは「決別」と「再生」の物語。父へ、母へ、この憎しみが消える日は来るのだろうか。酒を飲んでは暴れ、家族に暴力をふるう父に対して僕には明確な殺意がある。十三歳で刑罰に問われないことは知ってはいるが、僕が父を殺せば、もう母とも妹とも暮らすことはできないだろう。それがわかっていても僕は父を殺そうとしている。自分のなかに黒い炎を噴き出す龍が住んでいる。いつそれが自分のなかから生まれたのかわからない。龍は僕に命令した。今だ、と。         (本文より)

著者紹介

窪 美澄 (クボ ミスミ)  
1965年東京都生まれ。フリーの編集ライターを経て、2009年「ミクマリ」で第八回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』で第二十四回山本周五郎賞、12年『晴天の迷いクジラ』で第三回山田風太郎賞、19年『トリニティ』で第三十六回織田作之助賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)