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スタジオジブリの想像力 地平線とは何か

出版社名 講談社
出版年月 2021年8月
ISBNコード 978-4-06-524132-5
4-06-524132-4
税込価格 2,750円
頁数・縦 381P 20cm

商品内容

要旨

西洋ルネサンス絵画と日本アニメは視覚芸術における空前の事件である!なぜ宮崎駿の作中人物は空を飛び、火と接吻するのか?スタジオジブリを人類史のなかに位置づける、壮大にして野心的な試み。『熱風』の連載、待望の書籍化!

目次

第1章 絵より先にアニメがあった
第2章 なぜ宮崎アニメでは空を飛ぶのか
第3章 飛翔する力がジブリを創った
第4章 地平線という主人公―ギブソンと宮崎駿
第5章 恋愛の地平線―「天空の城ラピュタ」
第6章 地平線と火の接吻の物語―「ハウルの動く城」
第7章 内面空間としての地平線―「千と千尋の神隠し」
第8章 地平線の比較文学―フォード・黒澤・宮崎駿

出版社・メーカーコメント

 ……アニメーションの魅力を全国的に開化させたのが、高畑勲、宮崎駿といった人々によって担われたスタジオジブリの作品群であったと、私は考えています。高畑さんや宮崎さんといった作り手の仕事の素晴らしさについて私はこれからお話ししたいと思っているわけですが、そのためにはまずアニメーションそのものの魅力について語る必要があります。(中略) ……その眼で眺め直してみると、ゴンブリッチが援用したジェイムズ・J・ギブソンの知覚論や、ルドルフ・アルンハイムの視覚論、エルンスト・クリスのカリカチュア論を含む精神分析的美術論などが、アニメーション探究に役立たないはずがありません。漫画論ーーとりわけ少女漫画論、劇画論ーーについてはもちろんのことです。 西洋ルネサンスとアニメ・ルネサンスを雁行する視覚芸術史上の事件として眺めるというこの考え方は、さらにいろいろ興味深い示唆を含みます。たとえば前者においてはキリスト教が占めた位置を後者においてはエコロジー信仰が占めています。終末論として似ているのです。 高畑さんの作品も宮崎さんの作品も、大略、このような視点から眺められなければならないと私は思っています。(第一章「絵より先にアニメがあった」より抜萃)

著者紹介

三浦 雅士 (ミウラ マサシ)  
1946年生まれ。1970年代、「ユリイカ」「現代思想」編集長として活動。1980年代に評論家に転じ、文学、芸術を中心に執筆活動を展開。その間、舞踊への関心を深め、1990年代には「ダンスマガジン」編集長となり、94年からは別冊として思想誌「大航海」を創刊。2010年、紫綬褒章を受章。12年、恩賜賞・日本芸術院賞を受賞。著書に『メランコリーの水脈』(サントリー学芸賞受賞)、『小説という植民地』(藤村記念歴程賞受賞)、『身体の零度』(読売文学賞受賞)、『青春の終焉』(伊藤整文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)