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ウクライナの小さな町 ガリツィア地方とあるユダヤ人一家の歴史

出版社名 作品社
出版年月 2024年4月
ISBNコード 978-4-86793-025-0
4-86793-025-3
税込価格 3,960円
頁数・縦 338P 図版16P 19cm

商品内容

要旨

現在の西ウクライナにまたがるガリツィア地方は、歴史的に、オーストリア、ポーランド、ドイツ、ソ連とさまざまな国に支配され、翻弄されてきた。本書の舞台は、ガリツィア地方の小さな町クラコーヴィエツ。著者はイギリスの著名な歴史家で、彼の先祖はこの町出身のユダヤ人である。歴史家として客観的かつ生き生きとこの町がたどった歴史を語る一方で、この町と深い縁のある自分の祖先を悼むように、家族がたどった苦難の歴史を追いかけてゆく。ユダヤ人差別はありながらも多民族が共存したハプスブルク時代、国と国のはざまで幾多の戦争に蹂躙された混乱期、ウクライナとポーランド両者のナショナリズムに引き裂かれた近代、ナチスとソ連による恐怖支配、そして現代へ―。ガリツィア地方という、国と国のはざま。そしてユダヤ人という、民族と民族のはざま。―二つの「はざま」の視点から、ガリツィア地方、ウクライナ、そして東欧の人びとがくぐり抜けた歴史が照らし出される。

目次

逮捕
三匹の魚
「このうえなく華やかなりし時代」
シュテットルの勃興
皇帝のクラコーヴィエツ
燃えるシュテットル
クラコーヴィエツからベルリンへ
ベルリンからクラコーヴィエツへ
三つの体制のもとで
「おまえは心配しなくていい。おまえはおれのユダヤ人だ」
「小さな町です―聞いたこともないと思います」
一匹になった魚
クラコーヴィエツに帰る

著者紹介

ワッサースタイン,バーナード (ワッサースタイン,バーナード)   Wasserstein,Bernard
歴史学者。1948年ロンドンに生まれ、現在はアムステルダムに在住。1974年にD.Phil.(近現代史)、2001年にD.Litt.をそれぞれオックスフォード大学で取得。同大学での教職等を経て、現職はシカゴ大学歴史学部名誉教授、英国学士院特派員。近現代ヨーロッパのユダヤ人史を中心的な研究テーマとし、現在までに13冊の著書がある(本書が初の邦訳)。『トレビッチ=リンカーンの秘密の生活(The Secret Lives of Trebitsch Lincoln)』(1988)で英国推理作家協会のゴールド・ダガー賞(ノンフィクション部門)受賞
工藤 順 (クドウ ナオ)  
1992年生まれ。翻訳労働者。訳書に、アンドレイ・プラトーノフ『チェヴェングール』(石井優貴との共訳、作品社、2022、第9回日本翻訳大賞受賞)等がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)