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戦争映画を解読せよ! ナチス、大日本帝国、ヒロシマ・ナガサキ

出版社名 青弓社
出版年月 2024年7月
ISBNコード 978-4-7872-7465-6
4-7872-7465-1
税込価格 3,960円
頁数・縦 362P 21cm

商品内容

要旨

暴力や大量殺戮を描く戦争映画を興奮と高揚のうちに娯楽として消費するのはなぜか。第二次世界大戦期の戦場を描く各国の戦争映画を縦横に読み解き、戦禍に翻弄される人々や戦争と社会の関係性を浮き彫りにする。戦意高揚をあおりながらも、同時に反戦意識も生み出す戦争映画のインパクトに迫る。

目次

第1章 戦争映画と映画戦争(戦争映画とは何か
兵器としての映画
思想戦と映画
映画戦争
戦争を楽しむ、戦争映画を楽しむ)
第2章 映画戦争の始まり―戦争映画は憎しみを生産した(映画戦争の始まり
連合国の映画戦争―ハリウッドの映画戦争前夜
枢軸国の映画戦争と国策戦争映画)
第3章 第三帝国への抵抗―戦争映画はナチス・ドイツを告発した(ヒトラーという存在
生きるに値しない命とナチス追及
ナチスの加害者はどう描かれたか)
第4章 大日本帝国への抵抗―抗日映画は世界に告発した(南京事件と映画
捕虜虐待という戦争加害
七三一部隊と生体実験)
第5章 ヒロシマ、ナガサキ、ドレスデン―戦勝国の戦争犯罪を描く(トルーマン大統領は戦争犯罪者か
『始めか終りか』―原爆投下をめぐって
連合国の正義と戦争加害
戦争犯罪と戦争責任を問わない映画戦争の行方)
第6章 日本人と戦争映画(「真珠湾攻撃」をめぐる戦争加害と戦争被害の表象
伊丹万作の戦争責任観
戦争映画の内なる敵の告発
加害を意識しない戦争映画の問題点)
第7章 和解と共生という名の終戦―終わりなき二十世紀の映画戦争(「対面の親和性」
救済者たち
和解する敵対者たち
二十世紀映画戦争の本質―キツネとの邂逅)

出版社・メーカーコメント

戦争映画は多義的である。戦時にそれは、人間の憎悪と闘争本能と破壊衝動を巧妙に煽り立てる。平時にそれは、国家の和解と共生と反戦を声高に謳い上げる。そして人は、いまわしい暴力や大量殺戮を描くそれらを興奮と高揚のうちに娯楽として消費する。戦争映画とは何なのか。なぜ人は戦争映画を欲し、生み出し、享受し、そして熱狂するのか。敵対するアメリカと日本の双方が製作した戦意高揚映画、ナチス・ドイツの侵略戦争やホロコーストの惨禍を告発する作品、南京事件や捕虜虐待などの日本軍の蛮行を暴露する抗日映画、広島と長崎への原爆投下やドレスデンへの無差別爆撃など戦勝国の戦争加害を明るみに出す作品など、各国で製作された多様な戦争映画を縦横に読み解く。善と悪、生と死、軍隊と銃後、戦勝国と敗戦国、支配と被支配、被害者と加害者、殺す者と殺される者……。さまざまな立場や欲望、そして運命がせめぎあう戦争映画の解析を通じて、戦禍に翻弄される人間の姿や戦争と社会の関わりをひもとき、私たちの過去を思索し未来を模索する刺激的な試み。