陸軍作戦部長田中新一 なぜ参謀は対米開戦を叫んだのか?
文春新書 1482
出版社名 | 文藝春秋 |
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出版年月 | 2025年1月 |
ISBNコード |
978-4-16-661482-0
(4-16-661482-7) |
税込価格 | 1,210円 |
頁数・縦 | 279P 18cm |
商品内容
要旨 |
陸軍中枢で、最も強硬に対米開戦を唱えた田中新一。しかも田中は同時に対ソ戦を構想、関特演を実施した。その「戦略」は今日の眼からは無謀なものに映る。だが田中の残したメモからは、彼が鋭い情勢分析を行っていたこともうかがえる。日米開戦最強硬派の論理と行動を明かす。 |
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目次 |
第一章 日中戦争拡大派として |
出版社・メーカーコメント
田中は陸軍の中でも最も強硬に日米開戦を主張した人物です。参謀本部作戦部長という重要なポジションにあって、作戦立案の中心を担った田中は、国策決定上、大きな発言力を持ちました。なぜ圧倒的な国力差のあるアメリカと戦わなければならないか。実はかなり開戦のギリギリまで、日本は、なんとかアメリカとは戦わない方法はないか、と検討を重ねています。しかし、田中は早くからアメリカとの戦争を決意していました。現代の眼からは田中が唱えた「日米開戦すべし(そしてソ連も)」との主張は理解しがたいでしょう。しかも田中は同時にソ連とも戦うべきだ、と主張します。無理に決まっています(実際、陸軍も無理だと判断しました)。しかし田中は陸軍の頭脳ともいうべき参謀本部の、しかも作戦担当のトップだったのです。彼の対米開戦論は、参謀本部に結集した情報に基づき、彼なりのロジックで組み立てられたものでした。その論理とは何だったのか。この本は、それを考えるための本です。参謀は、いかに勝利への答えが出ない状況でも、何か無理やりにでも、「これなら勝てる(可能性がないわけではないかも)」みたいなプランを出し続けなくてはなりません。田中はその仕事にきわめて精力的に取り組みました(その結果、日本を敗戦に導きます)。戦争の途中で、田中は軍務局長の佐藤賢了をぶん殴り、東条英機首相に「馬鹿者共」を罵声を投げつけて、ビルマに飛ばされてしまいますが、田中がいなくなると陸軍にはもう、「これなら勝てる(以下略)」を絞り出せる人はいなくなってしまいます。そのあと2年半くらい、日本はずるずると犠牲を出し続けて、負けます。そういう本です。是非ご一読を。