商品内容
要旨 |
プロレタリア文学が一世を風靡し、短い文芸復興期を挟んで、戦争文学が主流になっていく戦前・戦中期。どの波にも乗れず、講演の抄録や短い文芸批評、地方紙の埋め草原稿などで糊口をしのいでいる小川庄太は、東京でやっていけなくなると故郷の小田原に戻り、実家が持つ物置小屋で寝起きしていた。やがて、他人のものに手を出すまでに困窮し、軍隊に入るか、牢に入るか、というところまで追いつめられて…。自分と家族の身の上を縦軸に、文学仲間の動静を横軸にして淡々と綴る見本のような私小説。宇野浩二、中山義秀、田畑修一郎、火野葦平らが変名で登場し、文壇の裏事情が垣間見える傑作。 |
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