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1.5℃の気候危機 脱炭素で豊かな経済、ネットゼロ社会へ

知の新書 G03 environment

出版社名 文化科学高等研究院出版局
出版年月 2022年11月
ISBNコード 978-4-924671-72-0
4-924671-72-X
税込価格 1,430円
頁数・縦 191P 18cm

商品内容

要旨

気候危機は現実化しています。世界の約束は、産業革命からの気温上昇を1.5℃未満に抑えることです。脱炭素・脱化石燃料化を進めることが唯一の発展の道で、脱炭素市場を巡る大競争が始まったのです。省エネ・環境対策先進国であった日本は、再生可能エネルギーや脱化石燃料で遅れをとり、今や気候・産業政策はガラパゴス化しています。どうすれば脱炭素で豊かな経済にできるのか。地域の資源や人材や文化を生かした人間的な発展は可能なのか。本書は世界の動向を俯瞰しつつ日本の気候政策と経済を検証し、脱炭素社会への経済・社会の抜本的転換を訴えます。

目次

1 はじめに 日本の気候変動政策への違和感―ガラパゴス化する日本の気候・産業政策
2 サステナビリティとSDGsを考える
3 戦争と気候危機 ロシアのウクライナ侵攻で懸念される環境・気候破壊
4 資本主義をやめないと、気候危機は止まらないのか?
5 イギリスでのCOP26の結果が示すもの
6 ドイツのG7サミットから 日本政府は「気候クラブ」にどう関与するか
7 アンモニアと水素は脱炭素社会の切り札になるか?
8 地域からの脱炭素化への取り組み
9 二〇五〇年ネットゼロ社会移行の課題―主としてガバナンスの観点から
10 コロナ後及びカーボンニュートラルに向けての新しいエネルギー政策―「参議院資源エネルギー調査会2021.4.21参考人として意見陳述」より
11 おわりに―「わたし」の気候危機

出版社・メーカーコメント

大丈夫か! ガラパゴス化の日本気候政策?!「1.5°C の約束」キャンペーンが、NHK・民放で開始されました。国際世界の会議で何が決まり、いかなる動きになっているのか。日本議会、省庁に助言する著者の気候危機対策への指針。脱炭素、ネットゼロへ企業や個々人はどう取り組んだならよいのか。SDGs をいかに進めていくべきか。ウクライナ戦争がもたらす気候危機。また日本の地域での取り組み。自然災害がます中で、時局に応じた気候変動への問題を明らかにする。今考えるべきこと! かつて世界市場の過半を占めた日本の太陽光パネルメーカーのシェアは大幅に低下し、拡大する電気自動車の世界市場では上位 10 社に日本メーカーの姿はありません。電力供給に占める再生可能エネルギーの割合は 20%あまりにとどまり、石炭火力への依存が続いています。脱炭素・脱化石燃料に向けた必要な改革と投資が遅れています。日本の脱炭素に向けた構造改革は滞り、気候変動対策の野心的目標や、再生可能エネルギー拡大のための制度改革や送電網整備は遅れています。二酸化炭素排出に価格をつけるカーボンプライシング(炭素の価格付け)の導入も先送りされています。今や日本の気候・産業政策は世界の周回遅れで、ガラパゴス的状況です。本書は、世界各国の動きや地域からの取り組みを視野に入れて、脱炭素で豊かな経済への移行の課題を考察しています。日本の気候政策のガラパゴス化からの脱却を考える一助となれば幸いです。

著者紹介

松下 和夫 (マツシタ カズオ)  
1948年生まれ。京都大学名誉教授、(公財)地球環境戦略研究機関(IGES)シニアフェロー、国際アジア共同体学会理事長、日本GNH学会会長。東京大学卒業後環境庁(現環境省)に入庁。米国ジョンズホプキンス大学大学院修了。環境省、OECD環境局、国連地球サミット上級環境計画官、京都大学大学院地球環境学堂教授(地球環境政策論)など歴任。専門は環境政策論、持続可能な発展論、環境ガバナンス論など。地球環境政策立案とその研究に先駆的に関与し、気候変動政策、SDGsなどに関し積極的提言(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)