書店レビュー
総合おすすめ度:
全1件
-
-
-
おすすめ度
- 平山書店 (秋田県大仙市)
漱石は本作品で「無意識の偽善」を取り上げた。この作品が書かれたのは、漱石が朝日新聞に入社し本格的に小説に取り組みはじめた時期にあたる。同新聞入社以後、本作に先立つ諸作において、すでに人間の意識には外部に現れない「正体の知れない」「潜伏者」(以上『坑夫』のあることを確認し、以降の作品においてこの考えを展開している。
さて、『三四郎』ではこの場面。三四郎は借りた金を返すため美禰子に会いに行く。この金は、実は美禰子が明かな好意から三四郎に貸した金であった。当然の成り行きで美禰子は不機嫌になる。そして美禰子との間に掛かった薄い幕の様なものを感じた三四郎は、あろうことか「あなたに会いたいから行ったのです」と口走ってしまう。このとき、三四郎は美禰子に自らの偽善を見抜かれる。同時に二人の恋も終わりを告げたのだ。元はといえば、最初に三四郎が金を借りたのも、借りなくてもよい状態にありながら美禰子の執拗な勧めに仕方なく借りた。こういうことも、同じ意味で双方偽善の行為であった。この出来事の前、広田先生は前述のような人物を、当代ふうの風潮のあらわれとして、「露悪家」といった言葉で三四郎に語って聞かせているの(2009年12月18日)
-
おすすめ度
-
商品内容
| 要旨 |
熊本の高等学校を卒業して、東京の大学に入学した小川三四郎は、見る物聞く物の総てが目新しい世界の中で、自由気侭な都会の女性里見美禰子に出会い、彼女に強く惹かれてゆく…。青春の一時期において誰もが経験する、学問、友情、恋愛への不安や戸惑いを、三四郎の恋愛から失恋に至る過程の中に描いて「それから」「門」に続く三部作の序曲をなす作品である。 |
|---|


