• 本

阿修羅像のひみつ

増補新版

朝日選書 1050

出版社名 朝日新聞出版
出版年月 2025年6月
ISBNコード 978-4-02-263141-1
4-02-263141-4
税込価格 2,090円
頁数・縦 195P 19cm
シリーズ名 阿修羅像のひみつ

商品内容

要旨

仏像にCTスキャナで健康診断?2009年開催の国宝阿修羅展は、延べ190万人を超える観覧者を集めた。その巡回展のはざまに、阿修羅像をはじめ9体の仏像を文化財用大型X線CTスキャナで撮影、健康診断が行われた。結果、内部は虫食いもなく、造立当初のまま、「健康」に保たれてきたことがわかった。計測から15年を経て、膨大な撮影画像データの解析結果が明らかとなってきた。脱活乾漆技法の詳細、完成直前変更されていたそれぞれの顔、心木復元でわかった阿修羅像の合掌手の位置、心木に使われた材木の特定など、興福寺、保存科学の専門家、美術史家、仏師、木材研究者らがそれぞれの立場で解説。文化財の未来を見据える。

目次

一章 X線CTスキャナによる阿修羅像の調査
二章 X線CT調査でわかったこと
三章 X線CT画像で読む阿修羅像の制作意図
四章 阿修羅は合掌していた
五章 人工知能を使って心木の樹種特定に迫る

出版社・メーカーコメント

興福寺阿修羅像等は15年にわたりX線CTスキャナで非破壊内部調査が実施されてきた。完成前の各像の別な顔、中世・近代の修理技術痕跡等、驚きの発見は如何にしてもたらされたか。所蔵者と専門研究者が示す未来への文化財継承の形。

著者紹介

多川 俊映 (タガワ シュンエイ)  
1947年奈良県生まれ。法相宗大本山興福寺寺務老院。300年ぶりの中金堂再興など天平伽藍の復興に取り組む
今津 節生 (イマヅ セツオ)  
1955年和歌山県生まれ。奈良大学学長。専門は文化財保存科学。1985年、青山学院大学大学院文学研究科史学専攻後期博士課程修了。学術博士(京都工芸繊維大学)。福島県立博物館学芸員、奈良県立橿原考古学研究所保存科学研究室長、九州国立博物館博物館科学課長、奈良大学教授を経て、現職。文化財保存修復学会賞、スガウェザリング技術振興財団科学技術賞など受賞
楠井 隆志 (クスイ タカシ)  
1968年愛媛県生まれ。福岡県文化振興課新県立美術館建設室企画監。専門は日本彫刻史。1991年、九州大学文学部哲学科(美学美術史専攻)卒業。福岡県立美術館学芸員、福岡県教育庁文化課主任技師、文化庁美術学芸課九州国立博物館(仮称)設立準備室、九州国立博物館展示課長を経て現職
山崎 隆之 (ヤマザキ タカユキ)  
1942年東京都生まれ。愛知県立芸術大学名誉教授。専門は日本彫刻技法史。1967年、東京藝術大学大学院美術研究科(保存修復技術専攻)修了。同大付属古美術研究施設勤務を経て、愛知県立芸術大学教授。文化財保存修復学会賞受賞
矢野 健一郎 (ヤノ ケンイチロウ)  
1948年宮崎県生まれ。仏師・仏像修復家。1975年、東京藝術大学大学院美術研究科(保存修復技術専攻)修了。東大寺学園教諭を経て(有)矢野造形技法研究所代表。広島市立大学芸術学部非常勤講師。興福寺中金堂(2018年10月落慶)の本尊・釈迦如来坐像などの修復を手がける
杉山 淳司 (スギヤマ ジュンジ)  
1959年大阪府生まれ。京都大学名誉教授、専門は木材解剖学。1987年、京都大学大学院博士課程中退。1989年、東京大学農学博士。東京大学農学部助手、京都大学生存圏研究所、農学研究科教授を歴任。第26-27期日本学術会議会員。2020年、紫綬褒章受章
平野 圭祐 (ヒラノ ケイスケ)  
1970年京都府生まれ。朝日新聞社寺社文化財みらいセンター事務局長。毎日新聞社入社。横浜支局、京都支局記者を経て、朝日新聞社入社。大阪本社社会部記者などを経て、大阪企画事業部で仏教美術の展覧会を手がけた。東京国立博物館の特別展「運慶」では仏像の出陳交渉を担当。京都検定1級合格。朝日カルチャーセンター講師や朝日新聞ガイドウォークで京都のガイドを務める。朝日新聞に「京都シン寺社案内」を連載(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)