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• 明文堂書店黒部店 （富山県黒部市）

デビュー翌年に書かれた作品もあれば昨年書かれた表題作に書き下ろしもありとジャンルも執筆時期もかなり違う短編集。ホラーありサスペンスありミステリ、ラブストーリーもある。読み進める度に失礼だがこんな作品も書けるのだと驚かされる。本当に引き出しの多い作家さん。よくある日常からちょっと離れたところに当たり前にある心の闇、そして想いを切り取っている。個人的には表題作や巻頭の「マリアージュ」が好き。巻末の書き下ろし「北緯六十度の恋」もいい。作品レベルは当然近年書かれたものの方が良い。しかし初期の作品には、それらにしかない魅力もあり現在の著者へと繋がっているものも多い。それらを感じ取れるのも嬉しい。「サクリファイス」しか知らないという方にこそ読んでほしい。

（2012年2月5日）