• 本

道元「典座教訓」 禅の食事と心

角川ソフィア文庫 SP G-1-5 ビギナーズ日本の思想

出版社名 角川学芸出版
出版年月 2009年7月
ISBNコード 978-4-04-135412-4
4-04-135412-9
税込価格 704円
頁数・縦 174P 15cm

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 日常を通じて学ぶ禅の心

     禅宗というと、ひたすら静寂の中に座禅をし、悟りを求め修行する…との印象が
    付きまとうが、その一派である曹洞宗を開いた道元禅師が同時に重んじたのは日常の
    中にある日々の所作であり、またその一つとしての食事であった。そしてその禅寺に
    おいて雲水(修行僧)たちの食事を整え、一山の台所を預かる、典座(てんぞ)と
    呼ばれる職について、その心構えを説き示したのが『典座教訓』である。

     本書はその『典座教訓』について、鎌倉建長寺をはじめとした諸山において
    典座として修行を重ねてきた著者が対訳を加え、また、自身の経験などに基づいて
    分かりやすく評釈を加える内容となっている。あまりにも身近な事柄である食事だが、
    それだけに、食を通じて説かれる種々の心構えにはなんともいえない重みがあり、
    しかし時にすんなりと心身に沁みる事もあれば、ハッとさせられる事も多い。

     堅苦しい拙レビューのせいもあって、一見難解そうな本ではあるが、わかりやすい
    対訳と、どこか親しみを感じさせる評釈もあり、また、簡単な精進料理のメニューが
    紹介されていたりして読みやすく、広くオススメできる一冊である

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    (2013年7月3日)

商品内容

要旨

上流貴族の家に生まれた道元は13歳で出家し、24歳のとき南宋へ渡り、上陸を許されずに停泊している間に、典座(禅寺の食事係)の役職にあった老僧と運命的な出会いをする…。帰国した道元は、寺院の規律を保つための新たな基準となる書を撰述しようとし、『典座教訓』を著した。食と仏道を同じレベルで語ったこの書を、自らが長く典座を務めた体験をもとに読み解き、禅の精神を日常の言葉で語り、禅の核心に迫る。

目次

典座の心得
典座のつとめ
米を研ぐ即ち禅
効率のよい食膳
仕事の手順
典座の心得
敬って作る、敬って供す
僧食九拝
典座の先達に会う
禅師、食の真理に目覚める
典座は一山の住職の心持で
食に上物下物なし
人に上品下品なし
当時の日本の典座
禅道の本文
三心 喜んでいただく
三心 天地の思いやりを受ける
三心 天地いっぱいをいただく

おすすめコメント

禅寺の食事係の僧を典座という。食事を作る者の心構えを通し禅の心を知る。食と仏道を同じレベルで語った道元の書「典座教訓」を、建長寺をはじめ、長く禅寺の典座を勤めた著者が自らの体験をもとに読み解く。禅の精神を日常の言葉で語り、禅の核心に迫る。

著者紹介

藤井 宗哲 (フジイ ソウテツ)  
1941年~2006年。佛教大学中退後、平林寺(埼玉県)・興国寺(和歌山県)・建長寺(神奈川県)にて修行。鎌倉で精進料理塾「禅味会」を主宰していた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)