あるようにあり、なるようになる 運命論の運命
出版社名 | 講談社 |
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出版年月 | 2015年7月 |
ISBNコード |
978-4-06-219575-1
(4-06-219575-5) |
税込価格 | 2,750円 |
頁数・縦 | 409P 20cm |
商品内容
要旨 |
「すべては必然的に起こる」のだろうか?人間の運命を哲学する!アリストテレスからダメットまで、時間と論理の哲学世界を博捜し、新たな運命論の地平を切り開く快著! |
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目次 |
第1部 論理からはみ出す現実性(神秘としての運命 |
おすすめコメント
「すべてのことは必然的に起こっている」というのが、「運命論」の主張です。たとえば、すべては神のシナリオ通り、という考え方もあれば、過去から現在に至る因果関係ですべて未来はきまる、という主張もあり得ます。古来、根強く支持されてきた思想といえます。アリストテレスはこれを論理的に批判しようとしましたし、彼と同時期のディオドロス・クロノスは擁護しようとしました。現代哲学においても、リチャード・テイラーは支持派、マイケル・ダメットは批判派です。たとえばテーラーには「オズモの物語」という議論があります。オズモはある日、図書館でこれまでの自分の人生を寸分違わず書いている本を見つけます。結末は、3年後に飛行機事故で死亡、となっていました。オズモは、その空港だけはさけようとしますが……。あるいは、ダメットなら「ロンドンの空襲」。大戦時、ロンドンが空襲され、防空壕に逃げる。そこで運命論者が言う。「あなたは殺されるか殺されないかとどちらかだ。死ぬとしたら、予防策は無駄である。死なないとすれば、予防策は余計である。いま何をしようが未来には関係ない」――ダメットによればこの話には、論理的な間違いがある……。このように、さまざまな運命論の議論を哲学的に仔細に検討しつつ、著者は、これまでにない独自の運命論に到達しようとします。それが、タイトルになった言葉「あるようにあり、なるようになる」です。もう一言言えば、「運命に乗り、自由であること」。因果関係や論理、可能・不可能といった様相、過去・現在・未来の構造を検討する時間論などなど、哲学の主要なテーマを自在に横断しつつ、著者がたどりついた地点とは? 哲学する醍醐味に満ちた一冊を堪能してください。