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イスラーム的 世界化時代の中で

講談社学術文庫 2306

出版社名 講談社
出版年月 2015年7月
ISBNコード 978-4-06-292306-4
4-06-292306-8
税込価格 1,188円
頁数・縦 338P 15cm

商品内容

要旨

ユダヤ教やキリスト教と同じ神と聖地をもつイスラームはいかに生まれたか。また、近年過激さを増すいわゆる「イスラム原理主義」とは何か。イスラームの基礎と思想的背景を解説し、サウディアラビアのワッハーブ主義や一九七〇年代以降の「イスラーム復興」の動きの中から二一世紀の動向を予見した、イスラームへの理解を深める必読書。

目次

第1部 イスラームとは何か―人類学的アプローチ(原風景
ユダヤ教・キリスト教・イスラーム
メッカ巡礼
ムスリムの聖者
部族・民族と宗教
ウンマとネイション)
第2部 原理主義・ファンダメンタリズム・イスラーム主義―宗教復興の時代(イスラーム復興との出会い
イスラーム主義とイスラーム復興
オブジェクト化されたイスラーム
ワッハーブ主義的イスラーム
宗教的ファンダメンタリズムの人類学
言説としてのファンダメンタリズム/原理主義
「文明の衝突」の時代?)

おすすめコメント

アラブ・ムスリム世界を調査・研究のフィールドとしてきた社会人類学者が、イスラームの基本的概念と、20世紀終盤に世界的に見られた「イスラーム復興」の動きを解説する。ユダヤ教、キリスト教と同じ「神」、同じ聖地をもつイスラームはどのように生まれ、発展したか。そして、近年の「イスラム原理主義」をどうとらえるか。著者によれば、いわゆる「イスラム原理主義」とは、キリスト教のファンダメンタリズムを安易にイスラームに当てはめた西側からの他称(レッテル)であり、イスラームへの誤解に基づいているという。そして、昨今の対外的戦闘行為を含む急進的な「イスラーム主義」運動は、けっして「近代化されていないから」「民主主義を知らないから」といった「近代欧米社会より遅れている」から発生した一部の特殊な勢力というわけではなく、1970年代以降に、近代化と近代教育を経験したムスリムたちによって担われてきた「イスラーム復興」の動きの中で生じてきたものだという。本書は、2000年、すなわち「アメリカ同時多発テロ」や「イラク戦争」以前に執筆されたものだが、その後のイスラームをめぐる動向を的確に予見しており、この半世紀のイスラーム世界を深く理解するための必読書といえる。巻末には、京都大学大学院教授・小杉泰氏が解説を執筆。〔2000年、日本放送出版協会刊の同名書籍の文庫化〕

著者紹介

大塚 和夫 (オオツカ カズオ)  
1949年北海道生まれ。東京都立大学人文学部卒。博士(社会人類学)。国立民族学博物館助教授、東京都立大学教授、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授等を務め、2009年没。主な著書に『異文化としてのイスラーム』(澁澤賞、アジア・太平洋賞特別賞)などのほか、共編『岩波イスラーム辞典』(毎日出版文化賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)