水平線のかなたに 真珠湾とヒロシマ
講談社・文学の扉
出版社名 | 講談社 |
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出版年月 | 2023年6月 |
ISBNコード |
978-4-06-531994-9
(4-06-531994-3) |
税込価格 | 1,540円 |
頁数・縦 | 77P 22cm |
NetGalley 会員レビュー
おすすめ度 上質なドキュメンタリー映画を見ているようだ。ごく一般的なアメリカの人々について、ヒロシマの人々について、語り描き出す。その、悲惨な死と生前の暮らしぶりを。国と国とは敵同士の戦争。しかし、人は、国の大きな意思にしたがって戦うしかなかったのではないか。愛する国を、家族を守るために。その気持ちは国が違えどどちらの国も一緒なのだということが切々と伝わる。ある悲劇から生まれたもうひとつの悲劇。両サイドの史実をフラットな視点で語る稀有な作品、作者の出自があっての素晴らしい作品だ。歴史を学ぶ生徒に副読本としてぜひ紹介したい。
おすすめ度 アメリカと日本に住んだことのある著者が、パート1は真珠湾、パート2は広島で、その時、何が起こったのかを描写した詩が41編。日本人が憎いとか、アメリカが悪いとか、戦争をしてはいけないとか、そういうことは一切書かれていない。書かれているのは、その日の朝、真珠湾には多くの戦艦があって、その浜辺で著者が祖母と遊んでいた様子や、広島の朝の様子を描写したあと、犠牲者の名前と、どうやって亡くなったのか、または生き残った人は、どう生き延びたのか、など。モノクロの優しい絵と、淡々とした詩が、とても穏やか。それなのに、心に強く訴えてくるものがあった。大きな過ちを犯し、取り返しのつかない犠牲を払って、学びを得た……はずなのに、どうして戦争は無くならないのだろう。その時は友達になれなかった、でも、時を経て友達になった、というアレン・セイ(コウイチ・セイイ)とのエピソードがよかった。
おすすめ度 絵本のような作品なのに、大人の私にも戦争の悲しさがズシリと胸に響きました。この作品には残酷な言い回しや挿し絵は一切ありません。けれど、そういった表現が一切ないからこそ、響いてくるものがあるように感じました。喪われた人々がそれぞれに抱えていたはずの夢、希望。あるべきだった未来。そして、大切な人をなくした家族の苦悩。ひとりひとりに焦点があてられることの意味は計り知れないものでした。愚かな過ちを繰り返してはいけないという信念が、より強固になった気がします。 上記レビューの提供元:NetGalley(株式会社メディアドゥ) NetGalleyとは、本を応援するWEBサイトです。 |
商品内容
要旨 |
真珠湾、広島の人々の生きざまを描写し、その時何があったかを私たちに突きつける、41の物語―。 |
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出版社・メーカーコメント
「映像を見ていたわたしは、あっ、とおどろきました。たちこめる霧のむこう、水平線のかなたに見えるのは--戦艦アリゾナだったのです」ロイス・ローリーが、自身の映ったホームビデオをよく見ると、真珠湾攻撃で撃沈されることになるその艦が、映り込んでいました。自らの経験を織り交ぜながら、2度のニューベリー賞受賞経験を持つ著者が、敵味方なく戦争下で実際に生きた人に想いをはせ、つむいだことばの数々。