『別れる理由』が気になって
講談社文芸文庫 つL2
出版社名 | 講談社 |
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出版年月 | 2024年7月 |
ISBNコード |
978-4-06-535948-8
(4-06-535948-1) |
税込価格 | 2,640円 |
頁数・縦 | 426P 16cm |
商品内容
要旨 |
一九六八年から一九八一年にかけ文芸誌「群像」で連載された小島信夫の『別れる理由』は破天荒な外貌のゆえ、本格的に論じられてこなかった「忘れられた傑作」だった。坪内祐三は連載の長大さそのもの、時間の流れに着目する。大長篇小説が書かれた複雑かつ繊細な背景を丁寧に追い、作品世界に身を任せつつ、独自の視点で迫る根源的文学論。「あとがき」的短文と小島信夫による「解説」的応答を収録! |
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出版社・メーカーコメント
1968年から1981年という長きにわたり文芸雑誌「群像」に連載され、1982年に全3巻で刊行されると野間文芸賞を受賞した、小島信夫の『別れる理由』。長期におよんだ連載中、「筆者と編集長しか読まない」と揶揄されたことすらあったという大長篇小説に江藤淳『自由と禁忌』以来久々にスポットライトを当て、江藤淳を含む同時代の他の評者が掴まえそこねた作品世界の全貌を初めて明らかにする作品論が本書である。現代日本文学の最高傑作、あるいは天下の奇書、どちらとも取れる『別れる理由』は平易な文体で描かれるが、やはり小説でしかなしえない異様な世界を形成している。そのような作品がいかなる状況下で成立したのか、その作中に流れる時間はいかなるものなのか、作家小島信夫が執筆当時に考えていたことはいかなることなのか、……多彩な要素に満ちた大長篇小説小説にきっちりと寄り添うことで筆者坪内祐三が掴んだものに触れるとき、読者は批評的な読解の愉しみを知ることになるのである。