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土と生命の46億年史 土と進化の謎に迫る

ブルーバックス B−2278

出版社名 講談社
出版年月 2024年12月
ISBNコード 978-4-06-537838-0
4-06-537838-9
税込価格 1,320円
頁数・縦 265P 18cm

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要旨

人工知能を筆頭に、現代の科学技術は加速度的に進歩・発展を続けている。だがいくら技術を注ぎ込んでも、未だに人の手で作れないものがあるという。その一つが土だ。当たり前のように存在する土を、なぜ作れないのか。そもそも土はどのように出来ているのか。そして、土と生命にはどんな関係があるのか。
本書では、地球46億年の壮大な歴史を辿りながら、土の誕生、土が生命の誕生や進化のきっかけとなったこと、人類の繁栄と土の劣化、人為的に土に近い土壌を作る「人工土壌」の挑戦など、多様な内容を語っている。土を再現不可能にしているのが生物由来の「腐植」であり、腐植に欠かせないのが微生物だ。土と、土中の膨大な数の微生物とが相互作用するシステムが、「土の本質」だという。
著者は土の研究者。国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 主任研究員。カナダ極北の永久凍土からインドネシアの熱帯雨林までスコップ片手に世界、日本の各地を飛び回っている。『土 地球最後のナゾ』(光文社新書)で第7回河合隼雄学芸賞を受賞。
※要旨の情報〔社会情勢、著者経歴など〕は、作成日当時のものです。
以降内容が変わっている場合があります。[要旨作成日:2025年2月18日]

商品内容

要旨

現代の科学技術をもってしても作れない二つのもの、「生命」と「土」。その生命は、じつは土がなければ地球上に誕生しなかった可能性があるという。そして土は、動植物の進化と絶滅、人類の繁栄、文明の栄枯盛衰にまで大きく関わってきた。それなのに我々は、土のことをほとんど知らない。無知ゆえに、人類は繁栄と破滅のリスクをあわせ持つこととなった。そもそも、土とはなにか。どうすれば土を作れるのか。危機的な未来は回避できるのか。土の成り立ちから地球史を辿ると、その答えが見えてくる。

目次

第1章 すべては粘土から始まる
第2章 生命誕生と粘土
第3章 土を耕した植物の進化
第4章 土の進化と動物たちの上陸
第5章 土が人類を進化させた
第6章 文明の栄枯盛衰を決める土
第7章 土を作ることはできるのか

出版社・メーカーコメント

『土 地球最後のナゾ』で河合隼雄賞受賞を受賞した著者による、書下ろし最新作!〔前書きより〕「土とは何なのか?」「なぜ生命や土を作ることができないのか?」という本質的な問いをあいまいなままにしておくことはできない。46億年の地球の歴史を復元し、豊かな土と生命、文明を生み出したレシピを明らかにすることがこの本の目的である。生と死は、生物と無生物は、土でつながる。多くの陸上生物は土から命の糧を得て、やがて遺体は土の一部になる。つまり、土も変化する。土が変われば、そこで生きられる生物も変化する。40億年の相互作用の中で、地球は次の時代の主役となる生物に適した土壌を用意する。土に居場所を見つけた生物は生存権を得て、さもなければ絶滅してきた。途中でレースを降りた恐竜の化石とは違い、土はいつも陸上生物のそばで並走してきた。土は、地球の変化を見続けてきた“生き証人”としての顔を持つ。どうだろうか。もし、足元の土が実は生命誕生や私たちヒトをも含む生命進化、今日の環境問題の根っこにまで大きく関わる46億年にわたる壮大なストーリーを教えてくれるとしたら。もう恐竜の化石にすべてを任せておくわけにはいかない。身近にありながら、普段はあまり注目されることのない土だが、私たちは土なしに繁栄していなかっただろうし、いまだに人類が人工的に作れない複雑で神秘的な力を秘めている土が未来を照らす一条の光となるにちがいない。

著者紹介

藤井 一至 (フジイ カズミチ)  
土の研究者。国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員。1981年富山県生まれ。京都大学農学研究科博士課程修了。博士(農学)。カナダ極北の永久凍土からインドネシアの熱帯雨林までスコップ片手に世界、日本の各地を飛び回る。『土 地球最後のナゾ』(光文社新書)で第7回河合隼雄学芸賞を受賞。そのほか、第1回日本生態学会奨励賞、第33回日本土壌肥料学会奨励賞、第15回日本農学進歩賞、第39回とやま賞、第27回日本生態学会宮地賞、第9回World OMSIROI Awardなど受賞多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)