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蝶の唆え 現代のファーブルが語る自伝エッセイ

出版社名 小学館
出版年月 2020年4月
ISBNコード 978-4-09-388751-9
4-09-388751-9
税込価格 1,980円
頁数・縦 239P 19cm

商品内容

目次

人生の小さな場面
ふたつの家
カブトムシ
共産党
不思議な缶詰
戦前の生活
歳末風景
溜め池と清水さん
伊勢の海
京都の家
ギンヤンマ
病気の発端
病牀三尺
ラジオデイズ
とんち教室
枕元の飼い鳥
絵物語は夢の缶詰
小僧の神様
標本箱の宇宙
外骨格をつけて大阪見物
大切なことは蝶から学んだ

出版社・メーカーコメント

終戦直後の大阪郊外。製粉工場を買い取り事業を始める父、そこで雇われたインテリの経理、シベリア帰りで共産思想の叔父さん、子連れで食べ物を乞う深夜の訪問者、進駐軍の横流し物資を持ってくる伊達者などなど、敗戦直後の個性的な大人に囲まれ、少年はトンボや鯉をつかまえ、全身で自然を満喫して育ちます。しかし好事魔多し、当時は死病とされる結核菌に襲われます。ストレプトマイシンが効を奏し、一命はとりとめたものの、学校は長期休暇、毎日寝て過ごさなくてはなりません。病床の楽しみはラジオや新聞の絵物語。とくに山川惣治や樺島勝一の絵に魅了されます。そんなある日、従兄弟のお兄さんが持って来たのが昆虫標本でした。少年は「木組みがほぞ穴にはまる」ような快い衝撃を受けます。病床であるが故につのる昆虫採集への憧れ。戦前の図鑑を見ながら、遠く台湾への想いを深くする日々。ひと昔前の日本人と社会風俗、そして少年の心象風景とあいまって、のちに虫好きフランス文学者の少年期が鮮やかに描かれます。ギンヤンマ、絵物語、カウボーイ、進駐軍、ラジオ……、懐かしいものがいっぱい詰まった「大人のための児童文学」です。

著者紹介

奥本 大三郎 (オクモト ダイサブロウ)  
1944年大阪府生まれ。フランス文学者、作家、NPO日本アンリ・ファーブル会理事長、埼玉大学名誉教授。主な著書に『虫の宇宙誌』(読売文学賞)、『楽しき熱帯』(サントリー学芸賞)など。『完訳ファーブル昆虫記』で第65回菊池寛賞受賞。一連の活動に対して2018年第53回JXTG児童文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)