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孤独の俳句 「山頭火と放哉」名句110選

小学館新書 431

出版社名 小学館
出版年月 2022年11月
ISBNコード 978-4-09-825431-6
4-09-825431-X
税込価格 1,045円
頁数・縦 253P 18cm

商品内容

要旨

「孤独」や「孤立」を感じる時代だからこそ、心に沁みる名句がある。漂泊・独居しながら句作を続け“放浪の俳人”と言われた種田山頭火と尾崎放哉の自由律俳句が今、再び脚光を浴びているという。厖大な作品群から、山頭火の句は現代俳句の泰斗・金子兜太が、放哉の句は芸人・芥川賞作家の又吉直樹が厳選・解説。名句を再発見する“奇跡の共著”。

目次

第1部 人生即遍路 種田山頭火「うしろ姿のしぐれてゆくか」―金子兜太・選(放浪の軌跡―略年譜と行脚地図
金子兜太選「山頭火」名句55選
選句にあたって「感覚で射止めた山頭火の句には、従来の俳句にはない新鮮な感銘がある」
キーワード解説)
第2部 独居無言 尾崎放哉「咳をしても一人」―又吉直樹・選(放浪の軌跡―略年譜と流浪地図
又吉直樹選「放哉」名句55選
選句にあたって「放哉の句を読んで最初に感じたのは、言葉の強さですね」
キーワード解説
ゆかりの地を訪ねる
ブックガイド)

出版社・メーカーコメント

こんな時代だからこそ心に沁みる名句がある   「孤独」や「孤立」を感じる時代だからこそ、深く心に沁みる名句がある。漂泊・独居しながら句作を続けた“放浪の俳人”種田山頭火と尾崎放哉の自由律俳句が今、再び脚光を浴びているという。その厖大な作品の中から、現代俳句の泰斗・金子兜太が生前選んだ山頭火55句と、お笑い芸人で芥川賞作家の又吉直樹が選んだ放哉55句を合わせて110句を厳選・解説した“奇跡の共著”。 労れて戻る夜の角のいつものポストよ 山頭火……東京暮らしには多少の余裕が出てきたものの、妻と別れて一人身になった孤独感は、やはり深かったのだろう。そんな折だから、町角のポストに友だちのような親しみを感じるのである。(金子) こんなよい月を一人で見て寝る 放哉一人で月を眺めていて、「よい月だな」と感慨にふけることがある。……だが、どこかでこの喜びを誰とも分かち合うことができない淋しさも感じてしまう。……一人だからこそ感じることのできた喜びと淋しさが句の内部で循環している。(又吉) うしろ姿のしぐれてゆくか 山頭火……感傷も牧歌も消え、生々しい自省と自己嫌悪も遠のいて、宿命をただ噛みしめているだけの男のように、くたびれた身体をゆっくりと運んでいる姿が見えてくる。(金子) 咳をしても一人 放哉……誰もいない孤独が満ちた部屋で咳をする。その咳は誰にも届かず、部屋の壁に淋しく響く。一つの咳によって部屋に充満していた孤独や寂寥が浮き彫りになる。(又吉) 「孤独」を磨き続けた2人の自由律の名句を“再発見”する一冊。

著者紹介

金子 兜太 (カネコ トウタ)  
1919年埼玉県生まれ。戦後、日銀勤務のかたわら俳句活動に入る。前衛俳句の旗手として頭角を現わし、1962年に同人誌『海程』を創刊。現代俳句協会会長などを歴任。1987年から30年間にわたって朝日俳壇の選者を務める。2018年没(享年98)
又吉 直樹 (マタヨシ ナオキ)  
1980年大阪府生まれ。お笑いコンビ「ピース」として活動するかたわら、2015年に小説デビュー作『火花』で芥川賞を受賞。オフィシャルコミュニティ「月と散文」でも自由律俳句を発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)