• 本

流れる

改版

新潮文庫 こ−3−2

出版社名 新潮社
出版年月 2011年12月
ISBNコード 978-4-10-111602-0
4-10-111602-4
税込価格 737円
頁数・縦 299P 16cm
シリーズ名 流れる

書店レビュー 総合おすすめ度: 全1件

  • 四十過ぎの中年女性梨花は、芸者置屋の世界に魅力を感じ、住み込みの女中になることを決心する。狭いがゆえにすぐ底まで知り尽くせそうな気がする。そして、この世界にいるとめまぐるしくいろんなことが起きそうな気がする。しろうとの世界は退屈で広すぎる。広すぎて不安である。それが梨花の理由だった。梨花は二日間の間に、傍観者的立場から主体的なかかわりをもつ存在へとその身を移した。この梨花が置屋の女中を選んだ理由の場面は、うっかり読み飛ばしてしまいかねないほど、取るに足らないことに見えるけれども、味わいのある示唆を含んでいる。梨花が広い世界よりも、狭く不自由な世界を選んだからである。

    (2010年5月5日)

商品内容

要旨

梨花は寮母、掃除婦、犬屋の女中まで経験してきた四十すぎの未亡人だが、教養もあり、気性もしっかりしている。没落しかかった芸者置屋に女中として住みこんだ彼女は、花柳界の風習や芸者たちの生態を台所の裏側からこまかく観察し、そこに起る事件に驚きの目を見張る…。華やかな生活の裏に流れる哀しさやはかなさ、浮き沈みの激しさを、繊細な感覚でとらえ、詩情豊かに描く。花柳界に力強く生きる女性たちを活写した幸田文学を代表する傑作。日本芸術院賞、新潮社文学賞受賞。

著者紹介

幸田 文 (コウダ アヤ)  
1904‐1990。東京生れ。幸田露伴次女。1928(昭和3)年、清酒問屋に嫁ぐも、十年後に離婚、娘を連れて晩年の父のもとに帰る。露伴の没後、父を追憶する文章を続けて発表、たちまち注目されるところとなり、’54年の『黒い裾』により読売文学賞を受賞。’56年の『流れる』は新潮社文学賞、日本芸術院賞の両賞を得た。他の作品に『闘』(女流文学賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)